内容説明
深沢奈子は仕事をやめて訪れたニューヨークで遠山美波・通称ミンミと出会う。まだ18歳のミンミは父と再婚相手のニュージャージーの家から飛び出してきたと言い、一日ベッドにもぐりこんでいると思ったら、ドラッグで飛んで、公園で倒れたりする。帰国してからもミンミは職も住も定まらず、奈子を頼り、振り回す。ミンミの常識外の行動は何に根差すのか。ラスト、インドでミンミを捜す奈子の、答えを求める孤独な道行き。しみじみと切なく、やがて圧倒的な感動が押し寄せてくる傑作長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
風眠
44
「小さな哀しみを重ね、小さな女の子のまま、世界に絶望してゆく。」帯の惹句がミンミの全てを言い表している。気ままで非常識なお嬢様。でもそれは両親の愛を得られなかった女の子の成れの果て。ミンミが望むようにしておけば社会不適合も治ると思い込み、お金を与えているだけで安心している両親。そんなミンミと出会った奈子。ミンミの育ちを知るほどに、放っておけないという感情と、山で死んだ父親への思慕が奈子の中で複雑に交差する。望んでも得られないのに「いつか」を期待してしまう。心だけが立ち止まったまま、時だけが容赦なく流れて。2016/05/13
ちょき
41
いい小説だと思うのだが、この人気のなさは何故だろう。父性というけっこう難しい題材を2人の対照的な女性の友人関係を軸に、女性作家ならではの視点で取り扱った作品。恐らくミンミの少女時代と思わせるジャケットのせいだろうか?もっと評価されていいと思う。2016/04/05
keith
24
奈子は会社を辞め、ニューヨークに短期留学し、遠山美波(ミンミ)と出会う。ミンミとルームシェアすることとなった奈子だが、気分屋のミンミに振り回されてしまう。父を山で失った過去を持つ奈子、両親が離婚したため父と疎遠になってしまったミンミ、そんな二人の父性についての想いがテーマなんだろうけど、どうもわかりにくかったです。2016/06/15
らむり
23
ミンミはいい子2016/06/11
zanta
12
273/10/22/2017 表紙はテーマに合わない気もする。最後のフェイスブックは救いだな。こういうことが怒るのがフェイスブックの良さだと思う。父を失ったばかりの私はこの題名に呼応するかのように選んでしまったが、こんな遍歴を娘にさせずに済んだ私の父は立派だったのだと思う。2017/10/23