内容説明
54帖からなる「源氏物語」には、題名しか伝わっていない“消えた一帖”があった!? 5歳年長の義母にして帝の妃・藤壺は、幼くて顔も覚えていない時に亡くなった生母・桐壺と瓜二つのように似ているという。切ない恋心をつのらせていく若き光源氏と藤壺の、許されぬ初めての逢瀬を、作家・瀬戸内寂聴が小説化。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
87
源氏物語の題名しか伝わっていない幻の一帖を小説化したもののようです。幼くして宮に入った桐壺の更衣に瓜二つの藤壺。光源氏の切ない恋心が募り、やがて初めての逢瀬へとつながる物語はまさに禁忌のメロドラマのようでした。光源氏の立場では許されぬ初恋とその成就であるというのがタブーでありつつも美しく感じられます。巻末に原文が掲載されているのもいいですね。2017/07/27
メタボン
29
☆☆☆☆ 源氏物語は未読だが、きっとこの幻の一帖には源氏物語の世界観が凝縮されているのだろうと感じた。まさしく「匂やかな」作品。古文も見事。2021/06/09
双海(ふたみ)
7
幼くして亡くした生母桐壺と瓜二つの藤壺。五歳年長の義母への思慕が次第に初恋へと変わっていく…。ひとたび露見すれば身の破滅を招く恋。それでも逢いたいと願ってしまう心。原文には記されていない、許されぬ初めての逢瀬を小説化。2023/02/09
ホームズ
6
失われた帖を創作した瀬戸内さんがすごいですね(笑)本当の源氏物語の中に紛れ込ませたらわからないだろうな~って思ってしまう出来でした(笑)しかし相変わらず光源氏って・・・。すごいですね~。やっぱり瀬戸内さんの源氏物語は読んだほうがいいですね(笑)2009/05/11
coco夏ko10角
5
瀬戸内さんの源氏物語十巻を読み終わったのでこちらも。違和感なく自然で素晴らしい!源氏が藤壺や王命婦と過ごすシーンももちろんいいのですが、左大臣家とのことも書いてあるのがよかった。葵の上のことは最初「なんだかツンケンしててヤな感じの娘やな~」なんて思ってたけど、知れば知るほど抱きしめたくなり「幸せになれるはずの姫君だったのになぁ……」と思ってしまう。2013/03/15