内容説明
レイプ・スキャンダルで引退したお笑い芸人・笠原雄二。今は孤独に生きる彼を、元相方の立川誠が5年ぶりに訪ねてくる。だが直後、立川は失踪、かつてスキャンダルを書き立てた記者が殺された。いわれなき殺人容疑を晴らすため、笠原は自分の過去に立ち向かう。TV・芸能界を舞台に描く、第45回江戸川乱歩賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
再び読書
50
あぽやんから新野氏の作品に入ったがこの作品も「もう君を探さない」同様ハードボイルドでなかなか良かった。こんなニヒルなお笑い芸人もいないと思うが、フィクションなので拘る事では無いかも知れない。しかし、昨今薬物汚染で持ち切りの芸能界まだ、この時代はそこまでのなんでもあり感は無いのかも知れない。殺人の動機はいまいちだと感じたが、同期に辿り着くまでの過程が、ミステリー風でもあり、江戸川乱歩賞も納得。追いかけていく作家である事は間違いありません。2016/12/03
ミスターテリ―(飛雲)
30
最初はお笑い芸人と、ハードボイルドがなかなか結びつかなくて、なんでやねんと、何度もつっこみを入れながら読んでいたが、相方の失踪から、若い女性タレントとのスキャンダル、過去の番組での事故による芸人の死亡など、一気にそこからの事件解決までの流れは見事であった。ただ題名の八月のマルクスが、マルクス兄弟に結び付かず、ましてそれが三人で、それぞれの名前がキィーポイントになっているとは分からなかった。幅広い人に読んでもらうために、できれば知識として最初に物語の中にあったほうが、もっとスムーズに読めたのに残念である。2020/03/19
ピエール
26
新野作品初読み。とあるスキャンダルによりお笑い芸人を引退した笠原雄二。それから5年、元相方の立川が失踪し、それと同時期にスキャンダルを書き立てた週刊誌記者の片倉が殺される。少し前の作品ですが、あまり題材とされないようなTV・芸能界が舞台なのがまず新鮮に感じられました。ミステリというよりはハードボイルドに分類される感じで、同じ系統の藤原伊織作品と比較すると及ばない印象でしたが、それでも広げられた風呂敷がきっちりと畳まれた内容には中々に満足できました。ハードボイルドが好きな方にお薦めです。2015/11/20
Our Homeisland
26
外れがないと言われる乱歩賞受賞作だけあって、設定も描写も、後半に向かっていろいろと展開が広がっていく中での意外性など、さすがに面白く読むことができて、良いできの小説だと思った。 難点といえば、殺人の動機と方法がやや薄くてリアリティがあまり無いかなという点。他は良いだけに残念だと思いました。また、巻末の解説では、「良い」と褒められていたが、本のタイトルがいただけないと思いました。このタイトルが付けられていることで、あんまり、関係もないし面白くもひねりも無いタイトルなのでかなり損をしていると思う。2014/12/22
ペーパーピーポー
23
ハードボイルドっていう作風は、あまり得意ではありません。 むしろ自分とは真逆の世界感だと思ってます。 ではハードボイルドの定義って、何なんでしょうか? 知りません。 でも語源が茹で卵だってことは知ってます。2018/04/10