内容説明
霊だの怪奇現象だのにはとんと縁がない――。大部分の人間はそう思って生きているし、それゆえに見てみたい、聞いてみたいというおかしな願望を抱くものだ。だが、果たして本当にそうだろうか。幼い頃の記憶に「あれは一体何だったのだろう」と首を傾げるようなことがありはしなかったか。多くはおやつを食べれば忘れてしまうような些細な引っかかりだったかもしれない。けれどもそうした違和感という名の不思議を感じたことのある人は意外と多いはずだ。怪はけして遠い世界のものではない。我々のすぐそばで呼吸し、そ知らぬ顔で紛れている。縁がないのではなく、それに気づくか気づかないかの違いだけだとしたら?本書には気づいてしまった57人の体験談が収められている。紙面から伝わってくるのは溢れんばかりの恐怖と嫌悪。悲しみ。懐かしさ。小さな怪の一粒はそれに気づいた途端膨れ上がり、圧倒的な彼岸の魔力で我々を包み、翻弄する。あなたも本書を読めば、記憶の片隅に埋もれていた「何か」を思い出すかもしれない……。 怪と不思議に魅せられて――神沼三平太、ついに単著デビュー!書き下ろし実話怪談57話!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
162
関西で「かみぬま」と言えば当然の如く「上沼恵美子」さんなのですが著者は字が違いますね。大学講師が本職の著者の初単著の本作は文句なしの素晴らしい出来栄えで私はいっぺんで大好きになりましたね。『ちょっと分けて』都内の私立大学に通う三年生の遠藤君が空手サークルの帰りに後輩とラーメン屋で食事して別れ、電車に乗り込むと同年輩の若い男が隣に立って「なーなー、それちょっと分けてくれよ」と肩の辺を見ながら馴れ馴れしく話し掛けて来て「サンキュ」と言って次の駅で降車する。遠藤君は気持ち悪いなと思いながら次の電車に乗り換える。2020/09/27
あたびー
40
最近ハマっている神沼三平太さんの単独書として最初の本という事です。禍々しい「……草」シリーズから読み始めたので、こちらは「なんなの一体?」的な話も沢山入っていて、こういうの(実はすごく好み)もお書きになるのだな、と嬉しく読みました。朱雀門さんもそうですが、教職をなさっておられる方の文章は、無駄がなく品良くスイスイ頭に入ってきます。止まっているエスカレーターを登っていったら異界に迷い込んだり、捨てても捨てても帰ってくる自転車に悩まされたり、廃墟に置いてあったお箸が2本じゃなく3本ずつだったり。好き。2023/03/18
りらこ
23
爪から悪いものが抜けると、爪が真っ黒になると聞いたことがある。やっぱり死神は黒い服を着ているのか。喪服なのか。幸運は他人に吸い取らてしまうものなのか。鍵をかけていないと、誰かが通り抜けて髪が残るきゃー。2021/08/02
HANA
16
主に不思議系の話が並ぶ実話怪談集。特に残酷でもなく霊が出てくるわけでもない、事実だけが提示されるのは内容によるものか文体によるものか。欲を言えばもう少し強烈な話が一つか二つは欲しい。なんだか淡々と読み進められて、あまり印象に残った話がなかったもので。2011/08/07
海星梨
11
KU。重い話が続いた前二巻のせいで読む手が止まっていたんですが、これは結構小粒な話が多い。こーゆーのもいい。『missing』の魔女先輩が見ている世界が溢れてきたような感じ。くねってる土管のようなものとかまんまクネクネさんじゃん!とテンション上がりながら。2023/03/08
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