内容説明
輪廻転生する自分、心霊写真を撮ってしまう自分、世界の終わりを夢想する自分、電話メッセージに凝縮させる自分、サブカルチャーに過剰にこだわるオタクの自分、社会的正義を欲望する自分……そんな「自分」が、アイデンティティの根拠となる何かを模索する試行錯誤の時代、平成。その「平成の精神」を、これら諸現象から大胆に読み解いた思想的考察。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
静かな生活
4
79点*主張に同意する以前に、ゼロ年代以降のオタク文化の話をする評論家の思想的土台として、そこまでポピュラーなものではないのも相まって、資料価値が極めて高い。ここにカントとかヘーゲルはいない。単に同時代のリアリティがあるだけだった。思想史的には吉本系右派といった感じで、この「てやんでい」節も含めて宇野常寛のそれと近い。「この国の知識人」を相対化する貴重なポジションと言わざるを得ない。2020/04/01
koala-n
1
再読。80年代に流行ったサブカル的な文化事象などから、90年代に顕在化する社会的なモード(雰囲気)の起源をさぐった評論集。というと、なにか小難しげだが、扱われているのがオカルト雑誌『ムー』への投書とか、今なら都市伝説と呼ばれるような噂話とかいったもの、あるいは、まだ今ほどは一般化する前の(かなりネガティブなイメージをまとった)オタクについての分析とかいったものまで、馴染み深くバラエティに富んでおり読みやすい。90年代のサブカルを考える上で、この時代を知っている人も知らない人も一度は読んでおくべき本だろう。2013/06/08
skashu
1
91年に発売した文化評論集が98年に文庫化されたもの。所収の「新聞投書に見る「発言したい欲望」——精神病理としての正義」が傑作。東日本大震災渦中の今読んでも面白い。他の論も、今では当然となった風景の始まりの時を描写していて感慨深い。2011/05/12
noprev
1
ハルマゲドン幻想のところは読み応えバッチシ2009/12/31
さぼ
1
⑦ 浅羽道明を好きになった一冊