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内容説明
私たちはなぜこれほど「お金」に翻弄されるのか?――2008年の金融危機の渦中でこんな疑問を抱いたウォール街の投資銀行家が、日本を含む25カ国以上を訪れ、脳科学、行動経済学、歴史学、宗教学、古銭学などの専門家に取材を重ね、「お金」の起源とその魔力に迫る。ポール・ヴォルカー、リチャード・ブランソン、ジミー・カーターら名だたる著名人が賛辞を寄せ、《ニューヨーク・タイムズ》、《フィナンシャル・タイムズ》などの主要メディアで絶賛を浴びたベストセラー。序文・ムハマド・ユヌス(グラミン銀行創設者、ノーベル平和賞受賞者)。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
146
貨幣の世界史という名の通りに人類の創世記からの話が読み物的に説明されています。あまり理論とかそういうことではなく社会学的な見地からの分析なのでしょう。日本についてもルース・ベネディクトの分析から贈り物の習慣について敷衍されています。どちらかというと贈与の理論に近いのかもしれません。比較的読みやすいのでペーパーバックでも読んでみようと考えています。2016/07/31
えちぜんや よーた
76
地域通貨に関するエピソードが興味深かった。1991年にニューヨーク州イサカで流通したイサカ・アワーだ(P241)。アワーは地域内(イサカの半径32km圏内)で循環し地域事業の振興と雇用創出を促したという。通貨の裏付けは地域内の実物資本によってなされたていた。これを日本に当てはめれば、商店街や地方自治体が政府から支給される地域振興のための補助金や助成金の必要性が薄れる。また東京資本の会社(◯オンとかコンサル会社)に富をスポイルされて、地元経済がかえって疲弊するという面白くない話もなくなるのではないだろうか。2018/02/28
ゲオルギオ・ハーン
27
タイトルから分かりにくいが、内容は貨幣についていろいろな角度から調べ、考えてみようという一冊。ネタとしては面白い話は多かったが、個人的には「なぜそうなったのか」という点で突き詰めてほしかったので事例を羅列していくだけでは消化不足だった。時系列もバラバラなので古代ローマ時代の貨幣政策の話はまとめてくれた方が面白かったと思う(第二次ポエニ戦争時代の貨幣不足はデノミネーションで解決、内乱時代はガリアから強奪した金で貨幣不足を解決、ネロ帝の政策など)。貨幣をソフトとハードで分ける考え方も面白い。2023/12/30
roughfractus02
10
原題はCoined:The Rich Life of Money and How Its History Has Shaped Usであり、副題「貨幣の豊かな一生、それはいかに歴史を通じて我々人類を形成してきたか」とあるように、紙メディアが作る時系列的歴史なく、歴史を「通じて」コイン化されるパターンを見出すことが本書の目論見に見える。サイバー空間の電子マネーに関わる著者が、精神、身体、魂なる鍵語でランダムな過去データとして貨幣の歴史を眺めると、貨幣が意思決定や行動を刺激する債務と捉え直される点が面白い。2018/07/10
左手爆弾
10
最初のあたりでなんだか嫌な予感がした。金持ちが道楽であちこち回って得た知見をしつこく書くような本のように見えた。で、実際にそうであった。金を価値の象徴と定義し、進化生物学、脳神経科学、人類学など幅広い分野から考察する。金の形態としてハードとソフトの論争があることは知らなかったし、これからの金の形態を予想する点なども面白かった。が、後半の方で急に「貧しいは正義じゃない」みたいな話で宗教の話をしだすのは、本書の筋からしても不要だし、JPモルガンの元社員の弁明のようにも感じられて、なんだか変な感じだった。2016/08/08