断片的なものの社会学

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断片的なものの社会学

  • 著者名:岸政彦【著】
  • 価格 ¥1,510(本体¥1,373)
  • 朝日出版社(2016/04発売)
  • ポイント 13pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784255008516

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内容説明

★紀伊國屋じんぶん大賞2016受賞!
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一生に一度はこういう本を書いてみたいと感じるような書でした。――星野智幸さん

この本は、奇妙な「外部」に読者を連れていく。
大冒険ではない。奇妙に断片的なシーンの集まりとしての社会。一瞬きらめく違和感。
それらを映画的につないでいく著者の編集技術には、ズルさを感じもする。美しすぎる。 ――千葉雅也さん

これはまず第一に、無類に面白い書物である。(…)
語る人たちに、共感ではなく理解をベースにひたすら寄り添おうとするスタンスは、
著者が本物の「社会学者」であることを端的に伝えている。─―佐々木敦さん(北海道新聞)

読み進めてすぐに、作者の物事と出来事の捉え方に、すっかり魅せられた。――唯川恵さん(読売新聞)

社会は、断片が断片のまま尊重されるほど複雑でうつくしい輝きを放つと
教わった。─―平松洋子さん(東京人)

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「この本は何も教えてはくれない。
ただ深く豊かに惑うだけだ。
そしてずっと、黙ってそばにいてくれる。
小石や犬のように。
私はこの本を必要としている」――星野智幸さん
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どんな人でもいろいろな「語り」をその内側に持っていて、その平凡さや普通さ、その「何事もなさ」に触れるだけで、胸をかきむしられるような気持ちになる。
梅田の繁華街ですれちがう厖大な数の人びとが、それぞれに「何事もない、普通の」物語を生きている。

小石も、ブログも、犬の死も、すぐに私の解釈や理解をすり抜けてしまう。それらはただそこにある。[…]
社会学者としては失格かもしれないが、いつかそうした「分析できないもの」ばかりを集めた本を書きたいと思っていた。(本文より)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

はっせー

251
この世界において意味が理解できなくても何故か記憶に残っている出来事がある。そんな出来事をまとめたエッセイになっている。何故か記憶に残っている断片的な出来事はピントが合っていないか、または断片が足りないからである。そこを自分の解釈や間違った解釈で理解してはいけない。自分の心の中に断片的な出来事として心に止めておく。それが役に立たずともそれでいい。その姿勢はまさに善悪二元論に立つことなく曖昧なものも存在するという立場ではないかと感じた。岸さんは私たちを優しい霞に連れていってくれようとしたのかなと感じた!2021/02/01

かみぶくろ

151
ずーっと読みたかった本だけど、満を持して読んでみたら本当に素晴らしかった。ミクロな個別事象をマクロな理論へと構成していくのが基本的な人文学系学問のスタンスだと思うが、ミクロで無意味な生活の断片をそのまま愛でるっていう著者の姿勢はとても文学的(というカテゴライズは無粋だが)な営みだ。日常や世界を振り返る「気づき」に溢れており、ややもするとすぐに凝り固まっていく我々の思考を、するすると柔らかく解してくれる、何度でも読みたい素敵な作品だった。2017/02/07

うっちー

143
社会学を断片的に捉えていました。まさに標題どおり2018/08/18

けんとまん1007

129
何故なのだろうか?ますます、不寛容で短絡的な空気が蔓延しつつあるのは?それは、意図されたものなのか・・とすら疑ってしまう。それはそれとして(放置するのはよくないが)、自分が知りえないことで、世の中が成り立っている。そんなことに、出会ったとき、それをどう受け入れるか・・ここだ大切だと思う。2020/09/09

ちびbookworm

123
社会学者のこぼれ話を集めた本。研究に使えないが、なぜか心に残る「普通の人」の人生話。◆NHKの「ドキュメント72時間」のような面白さがある。普段、自分の人生と交差しそうにない人の人生の断片を、そのまま読む面白さである。自然と自分の人生が客観視できてしまう感覚がある。◆または、この本は、路傍の人の人生との共感(全く違う人生だが、なぜか共感できるところがある。それは、誰もが持つ、生きる間の永遠の孤独感なのだろうか?)を感じさせ、 マイノリティの人をありのまま見つめる著者の優しいまなざしを感じられる本でもある。2023/05/05

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