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内容説明
近代の日本建築には、「日本という国への意識」が脈々と流れている。つまり、日本の建築を見れば、「日本的なるものとは何か」というアイデンティティの問いに対峙することにもなる。オリンピック競技場、万博パヴィリオン、国会議事堂、皇居など、海外からの注目も集める国家規模のプロジェクトが計画されるたび、伊勢神宮、桂離宮などの伝統建築が再検討され、議論が重ねられてきた。本書では、建築史・建築批評の第一人者が日本のシンボリックな有名建築をとりあげ、それらの議論を詳細に追う。日本のナショナリズムとモダニズムの相克がいま蘇る!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
zirou1984
22
面白い。日本の近代建築は帝冠様式のような直接的な折衷案を経つつも、「伝統か近代か」といった二元論を高い次元で融合させており、またその過程で雑誌「新建築」にて高度な論戦が行われていたことを明らかにしている。また新国立劇場のコンペ案で議論となった「縄文と弥生の対比」は、既に大阪万博にて丹下健三の屋根を突き破る岡本太郎の太陽の塔という形であ実現していた話は今更ながら知って興味深かった。個人的には万博の章が頭一つ抜けて面白く、伝統から外れた建築にも「日本的なもの」を見出されてしまう外からの眼差しが印象的だった。2018/06/17
パダワン
9
時系列ではない建築史。時代が前後するので読みづらさを感じたが、万博、民衆、メタボリズム、戦争といったテーマに基づいているので理解しやすい。これは既に日本建築史の流れを一旦押さえている人向けかも。 日本の公共建築が「日本的な建築とは何か」に如何に縛られ、またその難題に向き合うことで如何にすごいものを生み出してきたかがわかる。 建築史家の思想を感じた。 この本の中で村野藤吾がそごう問題でしか語られてない理由は、村野さんが公共建築の人ではないからなのか。だから様式から自由なものを生み出したのかも。2025/01/24
ネムル
7
先の新国立競技場の最終案、伊東対隈において縄文対弥生と言われていたものだが、その伝統論争は今に始まったことではない。オリンピック、万博を起点に描かれる、近代以後の「日本的なるもの」をめぐる議論はすこぶる興味深い。伝統→モダン→ポストモダンと西洋的な直線な流れと異なり、伝統とモダニズムがほぼ同時期に入ってきている。または伝統のなかにモダニズムを見るという建築批評、さらに伝統を弥生の系譜に見るか縄文に見るか等、西洋と異なったねじれがよくわかる。2016/04/22
そうぺい
6
初読。五十嵐さんの本は初めて。読書会の課題として。…う~んふーんなるほどwと、昨今のオリムピックの新国立競技場建設問題に絡めた本なのですね。建築物&建築本好きとしては、どうしても藤森照信さんと比べてしまいますね。無論、実践者と研究者の違いやキャリアの違いは多分にありますが…固いw眠いwごめんなさいです。藤森センセイの手練れの芸談と比べるのは可哀想ですがね。ただ、近代以降の日本の建築や建築者の歩みはおおよそ理解できる新書的な感じでいいとは思いますが。ここから、派生していければと。2019/08/27
chang_ume
6
近代建築史から見た「日本論」といった内容。タイトルが実に意味深い。建築家はいかに「日本的」なるものを表現してきたか。とりわけ川添登がしかけた「伝統論争」が興味深いものでした。考古学的にきちんと見れば、そもそも「弥生」と「縄文」の対立図式自体がおかしなものですが、モダニズムと土着の相克というか、建築という営為を通して日本ナショナリズムの形成を跡づける分析は効果的といえましょう。『丹下健三』(岩波文庫)が近代建築の正史ならば、こちらはまるでRev.Bのような。建築読み物としても楽しみました。2018/06/11
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