ビームコミックス<br> 死者の書(下)

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ビームコミックス
死者の書(下)

  • ISBN:9784047340589

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内容説明

時は八世紀半ば、奈良の都・平城京が栄えた頃。二上山の峰の間に、荘厳な俤びとの姿を見た藤原南家の娘――郎女は、館から姿を消し、女人禁制の万法蔵院に入り込む。「姫の咎は、姫が贖う」――長期の物忌みに入った郎女の元に、五十年前、謀反の罪で斬首された滋賀津彦の亡霊が現れる。その、白玉が並んだような、白い骨ばかりの指を見た郎女は――。日本民俗学の基礎を築いた折口信夫の傑作小説を、近藤ようこが初読四十年にして、宿願の漫画化。古代へと誘う魂の物語、完結の下巻。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

HANA

58
上巻に引き続き著者の独特の絵柄に魅了されつつ読む。ただやはり大津皇子の場面がほぼ省かれており、中将姫の行動が中心。目覚めた大津皇子との交感というより、大津皇子と山越え阿弥陀来迎が同一化されてる気がするなあ、本書の中では。折口の『死者の書』とは違った読後感ながら、平城の上古の昔に遊ぶような趣は両者共に共通している。ただ最後、折口の贅を尽くした当麻曼荼羅の描写に対して、姫の行動を持ってきたため、その部分を読む感じは随分と違ってみえる。本書を読んでその世界に嵌れた方は、是非とも小説も読んでもらいたいなあ。2022/04/02

はつばあば

42
古代へと、曼荼羅、当麻寺へとこの本が誘ってくれる。仏の教えの道筋が・・ 2016/07/08

井月 奎(いづき けい)

38
蓮の糸で袈裟をつくり上げ、曼荼羅としてそれを当麻寺にのこした中将姫のひたむきな姿はまわりの者たちの心を打ちつつも不思議の念をも抱かせます。姫にしか見えない阿弥陀ほとけの肩にかけるための、風をよけ、寒さを和らげるための袈裟をつくる姿に意味を見出すことはできません。中将姫の目に見える清く、美しい仏は他の人々には見えないのですから。姫はただただ、自分の目と心の赴くままに織り、断ち、縫い上げるのです。彼女の叔父、藤原仲麻呂の言葉、「これはもう、人の手にはもどらんかもしれんぞ」その通りに姫は涅槃へと歩き出すのです。2019/02/17

澤水月

36
蓮の茎から五色の糸を取り、布を織る絵本を昔読んだがこの原作も同じ話をタネにしているのだろうか。簡素ながら美しい古代幻想、郎女の行方の儚さも含め雄大な空気に飲み込まれる思い2016/05/08

kasim

33
折口信夫の原作は憧れつつも未読。近藤さんが漫画化したと知り、わくわくして手に取った。清潔で知的、しかも官能的な著者の絵の不思議な魅力は相変わらず。幻の海辺の白玉を拾い、蓮の糸で布を織る郎女の居場所は人の世にはないのか。大津皇子は切なくも怖い。自分なりの解釈に過ぎないという誠実な後書きつき。こちらも充分難解ですが、輪郭くらいは掴めたかな? 2021/03/04

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