内容説明
江戸時代中期、儒学の世界を根底から覆した学者、荻生徂徠。幼い頃から書物に親しみ、父の江戸追放で上総に逼塞するも、独学で学問を身につける。その才と学識の深さから柳沢吉保に取り立てられ、徳川吉宗の政治にも影響を与えた。貧困、学者らからの無視、妬み交じりの反撥……どんな苦境にも学問への情熱を絶やさず、近代思想の礎を築いた不屈の天才。彼が追い求めた思想と、その生き様を描いた歴史小説の金字塔。解説・宇野重規
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
しんすけ
15
読めば読むほど、荻生徂徠は物語の対象にはならない人物だと思えてくる。 だから本書は読んでいても没頭させるようなところが全くない。正直、欠伸を噛み殺すことも数回あった。 物心付いてから死ぬまで儒学の研鑽に励んだのが荻生徂徠であり、朱子学に反発した徂徠の姿を明確にするだけである。 それでも垣間見える学者魂には頷かされる。これは学ぶ喜びを知った者の共有精神がなせるのだと思う。 しかし本書が興味深いものになるのは、全体のの4/5を過ぎたところからだ。もう終わり近い。2020/10/06
しんこい
13
歴史の教科書で名前こそ学ぶが、実際何をやり、どういうことで大きな存在かまるで知らず。原典に回帰し、聖人とは何かから初めて儒学の根底を語る、なるほど大きな存在に違いないし、江戸時代の学問の精緻さもすごいと感じた。2019/01/23
shimashimaon
7
陸奥宗光は投獄中にベンサムと荻生徂徠を読んで影響を受けたそうです。漢文を白文で上から下へと読む「古文辞学」を唱え、古典の真意を探究して朱子学を批判した。荻生徂徠が仏教嫌いというのは残念ですが、その「知の巨人」たる所以は仏典の漢訳を行った中国人やサンスクリット語仏典の和訳を行った中村元博士らと共通するように思います。彼の業績が清朝の正式資料に掲載されたことを知り驚きました。古代中国人から見たら異民族である清朝や荻生徂徠が知の探究において真摯であったことが面白いです。和訳は「和(やわ)らげ」といったのですね。2022/08/27
BIN
6
柳沢吉保に仕えた儒者としか覚えてませんでしたが、大学者だったんですね。吉宗のこっそりの諮問に与っていたとは。学者を主人公に小説なんてよく書けたものだなと思いながら、面白く読めました。京の学者伊藤仁斎に阿った文章で手紙書いたのに返事をもらえず、さらに勝手にその手紙を引用されることでブチギレて反論本を出版したりと癖があって人柄的にも面白い。単なる学者というだけでなく世情を鋭く見る観察眼の持ち主だったとは。儒学は良いものだとは思いますが、復古主義なのだけはいただけないとつくづく思う。2019/11/10
しんこい
6
歴史の教科書で名前こそ学ぶが、実際何をやり、どういうことで大きな存在かまるで知らず。原典に回帰し、聖人とは何かから初めて儒学の根底を語る、なるほど大きな存在に違いないし、江戸時代の学問の精緻さもすごいと感じた。2019/01/23
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