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内容説明
高齢者医療費の増大、TPP参加と皆保険制度等、日本の医療は嵐のなかにある。また、医療者・政府・患者等、関係者の利害対立も激しさを増している。これまでは“カンと度胸”で決定されてきた医療政策も、いまやデータの裏付け・検証や理論に基づく施策が求められている。本書は、医療政策の課題、学問的裏付け、決定過程の実態、諸外国の例、今後の展望について解説し、新たな学問としての医療政策学の必要性を説く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
13
現在の課題、医学の歴史、関連する学問、諸外国の政策など、考えるに足る知識がたくさん詰まっている。官僚と医師会、最前線で働く医療従事者との間に乖離があるというテレビ番組を見てこの本にあたってみたのだが、問題意識を持たれた方が勉強を始めるには良い本だと思う。2012/10/28
coolflat
5
2章、5章以降が為になった。因みに2章は日本の医療の歴史が解説されている。日本の医学は、オランダ医学からイギリス医学という流れになっていたが、明治時代にその流れをドイツに切り替えた。世界的には臨床医学が中心であったが、ドイツは当時、新興国プロイセンであり、他のヨーロッパ諸国に取り残された形になっていた。その遅れを取り戻すためにドイツでは実験重視の研究を行い、論文を短期間に多量に作成することに主眼を置いた“研究室医学”を興したということである。現在の日本における研究室医学の流れはここが出発点だったのである。2014/07/14
nicokiyo
3
これまで積極的に医療政策分野に対する知識を得ようとしてこなかった事もあって読了に時間がかかりました。医療を産業として捉える視点も大事なんだと思いました。2018/12/24
れうしあ
3
医療費が高額化する中で、これからの医療政策がどうあるべきか。経済学やその他の学問の知見を活用し、諸外国の政策をモデル化して検討する。医療政策には大きく分けて、積極的に税金を投入する公衆衛生モデルと産業ベースの医療を促す治療モデルがあるという。この選好はは国内においてもアクターによって異なり対立がある。著者は、議論を進める中で知識を集約し、医療政策学という学問を確立する必要性を主張している。二次文献からの引用が多く、著者の専門外分野の知識に対する不安が残る。また不必要な引用が気になりまとまりなく感じた。2018/05/24
かろりめいと
1
コロナによる医療崩壊が気になって読みました。とはいえ、日本の医療制度・社会保険制度の基礎知識を得られただけだったが・・・。結構読みにくい。第五章の医療制度の国際比較は勉強になりました。医療制度を評価する基準は、費用・アクセス・質。日本は、安い・病院数は多い・質はふつう。アメリカは、高い(公的医療保険がない)・アクセス悪い・質は高い。あと、英独仏は読んで下さい。面白かった。2020/04/17