内容説明
病院にはストレスがたまっている。医者が患者に病名や余命を告知して、治療方針を相談しながら決めるようになった。それで関係が良好になるどころか、相互 不信は増す一方なのだ。なぜか。どこでこじれるのか。どうすればいいのか。この問題を臨床医として考え抜いた著者の思考は、「わかりあう」ということの本質へと到達する。綺麗事や建前を排した、徹底的にリアルかつ深遠なるコミュニケーション論。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アナクマ
29
病名告知が当たり前となった急速なその変化に立ち会ってきた医師によるコミュニケーション論。冗長散漫で、べらんめいな居酒屋談義口調は正直めんどう。しかし「不完全でも不十分でもプロなら何らかの答えを出し続けなければならない」「この臨床の泥沼にようこそ」という結句に、著者の意気と立脚点を感じることができます。◉話しは変わりますが、コミュニケーション「術」というものが、誰もが当たり前に修得すべき一技術として人口に膾炙した近未来において、それでもなお健康的で幸福なコミュニケーションは成り立つものでしょうか。2018/06/13
活字の旅遊人
23
これは参考になります。医師患者関係以外にも応用できると思いますが、そういうニーズで読む人はいないかな。。。
calaf
11
研修医に向けた解説...という形をとった、一般の人向けの解説?そのあたりは良くわからないのですが、「新潮45」という雑誌に掲載された連載エッセイをまとめたもののようです。コミュニケーション...もちろん医療現場では重要でしょうけど、一般の生活の中でも重宝する技術という気がする...2017/10/08
てくてく
6
研修医に向けた話しという設定で書かれているので、研修医ではない者にとってはいらっと思われる個所もないわけではない。ただし、数年内に複数の身内を癌で見送り、その際の医師や看護師の対応の個人差を目の当たりにしたこともあり、患者が何を求めているのか、多少の演技も含めて対応せよ、という点は納得するものがあった。2016/03/11
coldsurgeon
6
著者の医療論は面白い。今回は、医者と患者のコミュニケーションの取り方。模範例というわけではないが、人間の本質を理解しないとスキルは持ちだせない。その本質は、マキアヴェッリが君主論で述べた「人の性善説」の怪しさともいうべき「患者とその家族は恩知らず」という考え方だ。真実は取り扱いに注意を要し、そして十分なインフォームドコンセントは不安を増長するものになりかねない。そして「検診の目的は早期発見・早期治療などではない。医者の口から大丈夫と言ってもらって、安心すること」には納得した。2015/11/10