内容説明
甲州早川や信州秋山でのフィールドワークを通して、歴史研究の舞台裏としての史料調査と、その収集・整理について具体的に論じる。蔵や古い箪笥に眠る古文書から、いかにして隠された歴史を紐解くのか。その方途を長年の現場経験から明かす。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
takeapple
21
歴史学の在り方はこうあるべきだと深く共感。私より4つ先輩で、上智大から中央大学の大学院で研究されて、現在中央学院大の教授である白水智先生に、同世代の歴史学徒だなどと畏れ多いのだが、80年代の社会史全盛期の体験、それ以前からの民衆史観、地域史運動の体験から、歴史とは中央の政治史だけではなく、多様な日本列島の様々な地域の名もなき民衆の歴史を丹念に現地を訪ね、資料に基づき、そこに暮らす人々と共に学んでいくものであるということで、地域住民の今と未来に役立ててこそのものであるということだ。白水先生の他の本も読まねば2018/04/22
浅香山三郎
15
古文書の調査の実際や、今日本の各地で起きている地域の歴史を知る手がかりの消滅といつた事態を伝へる。著者が長年フィールドとして関はつた秋山郷のケースを中心に、古文書をどう調査し、整理し、何がわかるのかを具体的に紹介していく。災害や過疎化の現実の前に、過去の歴史が村落の消滅とともに分からなくなるといふ未曾有の局面のなかで、歴史研究者がどういふ地域への貢献が可能かといふことに一つの方向性を示す。2020/12/22
yooou
7
息子の恩師より卒業記念に頂戴したものです。ありがたく拝読させていただきました。フィールドワークの実際に関する手順に関するところは、単に読み物としてだけ歴史と関わっているような僕らにとって、なるほどそんな活き活きとした接し方があるんだ思わされました。何よりこうした活きた歴史観を共有することで生き方、考え方を変えていく人との出会いは感動的でした。2016/04/03
maqiso
4
古文書は古い家に伝わったり裏紙として残されたりしているが、調査される前に捨てられることも多い。近世には行政文書が村々に作られたため、あちこちの家に古文書が残され調査しきれない。歴史学で史料調査があまり評価されないせいもある。調査した史料は原状復帰させたいが、補修が必要なものや震災などで保管できなくなり博物館に移すものもある。栄村では住民たちと他分野の研究者が協力して古文書から地域の歴史を明らかにした。2022/11/24
ずしょのかみ
4
古文書は、文の内容を読むだけというわけでない。紙質や、筆跡、さらにはその文書の歴史や地域の中の位置付けなどをも読み込む必要がある。自分は特に、いつ誰にとってどのような史料か、つまり史料の歴史地域の中での位置付けや、史料の特異な性格を読むようにしているが、難しい。筆者の言う、文書の発見されたそのももの記録、現状記録の必要性も痛感した。近世の古文書学は確立しきっていないと言われるが、自分もできるだけ努力して勉強したいと思った。2018/05/19




