内容説明
口から針を吐く少女。殺人鬼へと豹変した真面目な旗本の亡霊。突如、母親を切り刻んだ3人の子……江戸の人々を震撼させた怪事件は妖怪や怨霊の仕業なのか。その背後に浮かび上がるのは拉致、虐待、いじめ、ストリートチルドレンなど、現代社会にも通底する諸問題だった。今も昔も本当に怖いのは、人の心。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
19
山本タカトさんの表紙絵が怖いけれども本書の内容とマッチしていて素敵です。「天狗が男色家の意味でもあった」など知っている知識もあったのですが奇病は虐めを意味していたり、妖怪体験が思春期特有の性に対する妄想と社会とのズレに耐えられる心理を示していたなど思いもよらなかった考えが伺えて目から鱗が落ちました。老人怪護の所は妖怪に誑かされたと思わなければやっていけなかったかもしれません。そして何時の時代になっても人間の人を虐める心理や底知れない残虐さは変わらないということを再確認しました。2011/10/18
マサキ@灯れ松明の火
16
怪奇譚とありますが!氏家氏の怪談等の文献の考察ですね(笑)この書籍…何が怖いって…氏家氏が、やたらと「長くなるから割愛」・「くどいから割愛」と割愛のし放題…それが1番怖いです。。「割愛」しないで欲しい話もありましたのに。。2016/11/04
KAZOO
10
かなり昔の時代から今の時代の参考文献を渉猟しての江戸時代における怪奇譚を様々な観点から分析してくれています。どちらかというと人の心のおどろおどろしさがこのような話を生むという結論なのかなあという感じがします。2014/01/19
conegi
6
主に江戸の怪奇話の紹介と、現実的な解釈を交えた考察。小松和彦の本とコンセプトは近いか。考察として正しいのかもしれないが、性的な解釈や、いじめ、嫉妬の話が多い。いわゆる元禄文化のような華やかさとのギャップを狙ったのかもしれないが、若干スキャダラスな印象。怪異とはかけ離れた介護の悲惨さや、虐待の話への脱線もいかがなものか。とはいえ、本来のコンセプトである、怪異と絡めた話は面白かったし、参考文献からも真摯さは伝わる。面白いけど、惜しい印象の本だった。2024/12/14
エピクト
4
氏家幹人さんの本はたまーに読むのだが、どれも実に面白い。実際に怪奇な事が起こったと言うことではなく(どうも著者は懐疑派よりの中立、健全)、怪奇を受容する江戸の世相の闇の色彩みたいなものを描き出そうとしているのだと思う。驚くほど残酷で狂気に満ちた事件も語られている。帯には「人は怖い」と書いてあるけど、むしろ人が人外に踏み出して異形に化けるイメージの話が多い気がする。山本タカトの表紙絵はドンピシャ。しかし、「学術者(の一種)」がこのように面白くていいのだろうか。2011/06/15




