内容説明
なんたる上さまの冷酷――命乞いをする幼な子の首を刎ねた信長、秀吉と光秀、2人の心理的競い合いを楽しむ信長。信長を討つことは天の道!光秀は長い間心に沈澱していた反逆の囁きから解き放たれた……。戦いの果てにみた人間の弱さ、悲哀、寂しさを、そして生き残った村重、右近らの落魄の人生を描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
199
信長による容赦ない殺戮にも凜とした態度を崩さない(村重の妻)だし。その面影を胸に戦場に散っていく藤蔵。彼らは心の中に射してくる光に導かれた人とはいえないだろうか。一方、神になろうとした信長と、その魔に魅せられていく光秀。彼らを滅びの道に向かわせたものは何か、それは人間にとって避けられないものなのか。そして両者とはまた違う生き方…光に強く惹かれながら大切なものを棄てるしかなかった人、自己嫌悪を抱えて敗残者として生き延びた村重。三様の人生を通して、作者は〝生きる〟という答の出ない問いを問うているように思えた。2024/07/06
キムトモ
117
〜来春大河ドラマ対策強化月間〜秀吉と勝家の決着が着いたところで終演。御大らしくキリスト教がらみの気持ちの描写が多く明智光秀の登場が少なく物足りなかったが、明智の生きた時代の武将達の流れが感じれて良かったかな…(ノ-_-)ノ~┻━┻さぁ〜〜次の明智光秀伝へ〜〜2019/10/16
とん大西
99
荒木村重の零落の兆しを綴った上巻。下巻は村重正室だしの悲愴な死から、光秀を軸にした群像劇となっていく。信長を滅ぼしたかった光秀と秀吉。光秀は叛いた。希望の上に希望を重ね、期待の上に期待を重ね。謀反は成った。そこが光秀の終わりだった。秀吉は抑えた。慎重の上に慎重を重ね。謀反を超えた。そこは天下の始まりだった。本能寺で死した信長。俯瞰すれば信長こそが誰よりも叛いた。体制、伝統、しいては日本人の思想に。滅亡、零落、成就、忍従。『反逆』-正に戦国時代を具現化したタイトル。言葉の奥に英雄達の人生模様が漂う。2018/08/22
chantal(シャンタール)
91
秀吉は鬼才、光秀は秀才、信長は神才、世の中を根こそぎ変えようとした信長は自ら魔王になるしかなかった。そんな信長に反発した光秀の潔癖さが仇となったのだな。自分の領地を守るため処世に終始するしかなかった戦国武将の中において、信仰との狭間で揺れた高山右近や潔癖すぎた荒木村重や光秀は異質だったのだな。しかし一族郎党皆殺しに遭った中、50過ぎまで生きた村重は何を思ったのか。引き換え、妻たちの潔さに涙、涙。最後に信長の天下を掠め取った秀吉こそ、実は最大の「反逆者」だったのかもしれない。2021/04/04
takaC
55
下巻では光秀にフォーカスが移ったが上巻に匹敵するリーダビリティでした。遠藤周作さすが。2019/05/21
-
- 電子書籍
- 【デジタル限定】麻倉瑞季写真集「むきだ…
-
- 電子書籍
- 残蝕街区【分冊版】 6 BRIDGE …
-
- 電子書籍
- 声優ラジオのウラオモテ #02 夕陽と…
-
- 電子書籍
- はじめてのロボット工学(第2版) 製作…