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内容説明
「源氏物語」は、何ゆえ千年にもわたって絶えることなく読みつがれ、語りつがれてきたのか――。光源氏と彼をとりまくあまたの女、物語を飾る着物、美術工芸品などなど、舞台背景となる宴について、作者・紫式部のこと……。それぞれのテーマごとに、「源氏狂い」「源氏酔い」を自認する著者が、思いがけない角度から限りない優しさをこめて語る、くめども尽きぬ〈愛の古典〉の魅力。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯
22
田辺聖子さんの源氏物語エッセイ。以前、田辺聖子さん訳の『源氏物語』は読んだことがある。とても親しみやすくて読みやすい源氏物語だった。平安の雅さで描きながら、男と女のことは、昔も今もあまり変わらないのかも?と思わせられたり……。このエッセイでも、光源氏や紫式部、清少納言が身近に感じられるのは、田辺さんの文章の力なのだろうなぁ……。2015/06/15
shou
3
源氏物語の訳者考察。紫式部の人生から作品への影響、登場人物の性格分析など。原作では本心が見えにくい紫の上についての考察、特に彼女が出家を望むに至る心理変化やその結果の言動が立体的に見えてきて、なるほどなあと思った。2014/09/15
良さん
2
学生時代に恩師から言われたことを思い出して手にした。「源氏物語の読みは、田辺聖子の読みが一番いいね。」そうですか、と間の抜けた返事をしたきりで田辺源氏を読んでいなかったことを反省し読んだ。40年経っても古びていない鋭さだと思った。 【心に残った言葉】紫式部は「源氏物語」にすべてを吸い尽くされて、後に残るのは〈静謐な残滓〉ともいうべき虚脱である。「源氏物語」はいわば、紫式部の生涯のブラックホールとも謂うべく、すべてをその中におそるべき吸引力で吸い込んでしまう。(231頁)2021/08/14
美保
2
あさきゆめみしから源氏狂いに入ってます。とくに紫の君の捉え方が哀しい女性でないところ。源氏を許しより大きく包み込んで昇華したという詠みときが嬉しい? 源氏、特に紫の君イチオシなので素直にありがとうございますと言える本です?✨2018/04/05
圭
2
読みやすくて、源氏物語の奥深さや登場人物に親しみを感じさせてくれる一冊です。特に源氏と紫の上という男女の人物像が、丁寧に原文を追いつつ、男性心理と女性心理を踏まえて、多面的に深く細緻にリアルに洞察されています。著者は「私が学生時代、紫の上を退屈な貞淑な人妻、良妻賢母とのみ思っていたのは、考えてみるとなんという浅い読み方であったことか」と書いていますが、私もこの本を読んで、自分の読みの浅さに気付かされました。源氏物語の人物論は数多くありますが、個人的にこの本が一番作品や登場人物の本質に迫っていると思います。