内容説明
予算の残りを食いつぶすために生れた《景気調査官》。彼の役目は文字通り各地の食物を試食し、景気に関する“実感的レポート”を作製することにある。銀座のたこ焼きをふり出しに、知床半島から鹿児島まで、あり余る“取材費”にものを言わせて、主人公はただひたすら食いまくる……。官僚主義への痛烈な諷刺を軸に、一瞬にして消え去る美味の本質を見事に捉えた異色の食味小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
さっと
8
「新しい御馳走の発見は人類の幸福にとって天体の発見以上のものである」(ブリア−サヴァラン)。新年度の予算確保のため、余った予算を文字通り食いつぶすよう『景気調査官』に命じられた男。庶民の味であるたこ焼きを振り出しに、北は知床、南は鹿児島まで、自然の滋味あり、老舗の意地あり、食の極致あり、途中から、彼の景気調査官の役割(官僚主義風刺)なんてどうでもよくなって筆者の書きたいことだけ書いてる印象だったが、筆者の豊穣なるコトバの海に溺れる300ページ。幸せだ。2017/02/24
aoko
2
大蔵省に勤めている友人が、予算消化のために「景気調査」の名目で日本全国北海道から九州までおいしいものを経費で食べに行く、エッセイのようなフィクションのような作品。たこ焼き、どて焼きまでは「食べたい」と思いながら読んだけれど、その後は(予算消化が追い付かず)高級料亭、高級食材で、私には縁がなさ過ぎて「おいしそう」とは思うものの、読み進むのに時間がかかってしまった。2025/10/21
竹生
1
開高健はほんとに食の描写のうまい作家だと思う。普段、自分の食べられないものや見たこともない食べ物でもなんでも美味しそうに見える。2021/05/30
あかふく
1
もちろん食の問題を語っているわけですが、実は記憶の問題も語っているのではないか。ピクチャレスクと繋がりそうなのでこれも「心理的ピクチャレスク」のものとして面白い。また、「ロマネ・コンティ」とかについて山崎正和が言っていた(「不機嫌な陶酔」)のも記憶の問題だったはずなので、そういった批評にものり得るのではないか。2012/08/03
あかふく
0
水=身体2012/08/26
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