内容説明
栂尾三重子は息子の死後、若くして未亡人となった美しい嫁の泰子と一緒に、京都で暮している。その泰子は、伊吹と三瓶の二人から求愛されているのだが、三重子は、生前の自分の夫の仕打ちに対する深いうらみから、この二人の男に対して、手のこんだ復讐をたくらんだ……。女性のなかにひそむ、すさまじいまでの妄執を、鬼気迫る悪霊現象を通して、女の内面から描き出した傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
meg
22
昭和の小話のようで悲観的にも皮肉的にも楽観的にも読める。おもしろかった!2024/06/18
夏子
11
女同士の妄執というか怨念というか・・・若い未亡人泰子とそれを巡る二人の男の三角関係の物語だと思っていたら彼女の義理の母、能の女面を思わせる歌人、三重子が裏主人公だった。彼女の執筆した「源氏物語」六条御息女に関するエッセイ「野々宮記」もその内容と密接に響き合う濃密な女の物語でした。2015/12/03
swshght
6
三島が絶賛した『女面』。本作では「仮面」や「顔」の描写がいたるところに散見される。そこに能と『源氏物語』のイメージが重ねられる。あたりに影を落とすのは、なにか言い知れぬ不吉さだ。やがて水脈のように流れる復讐や恨みの存在が露わとなる。それが「血統」に関与するあたりが恐ろしい。交換による「性交」「懐妊」「出産」という復讐。復讐は血統を不純なものにし、さらにそのなかに連綿と流れ続けていく。「女の愛情とは容易に復讐に変貌するもので、同時のその妄念はやがて、次の世代へ自分を伝えて行く尽きない血の流れでもあるのだ」。2014/08/02
澄川石狩掾
3
能についてもっと知っていると、もっと楽しめたのだろうと思った。亡霊が憑依して想い出を語る、夢幻能の世界のようにも感じた。 それにしても、妊娠・出産によって自分の子を判然分かっている女性と、自分の子が誰なのか、永遠に確定させることが出来ない男性に間には余りにも深い断絶があることを感じさせられた。2020/10/03
芋煮うどん
2
女性の底知れぬ強さ、したたかさ、執念深さをこれでもかこれでもかと見せつけられ、女性であるわたしも降参状態。 源氏物語をある程度理解していないと、興味そのものが続かない気がした。2024/06/16




