内容説明
ある中年婦人の、倦怠した家庭生活と放恣な夢とを、敗戦後の市井が映し出された風俗の中に描いた名短編「妖」を中心に、「家のいのち」「くろい神」「虚空の赤んぼ」「男のほね」「殺す」「耳瓔珞」「妾腹」「水草色の壁」「二世の縁 拾遺」の、全十編を収録する。「女坂」によって野間文芸賞を得た女史の、さらに戦後社会における女の生活と感情をごく現実的に描く諸作で編まれた珠玉集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
meg
30
好きだなあ。妖艶というか小説の醍醐味を感じる円地文子。女流作家の生き様をみた。2024/06/14
北風
19
女の情念を「これでもか!」というくらいネトネトに書く円地文子先生。Kindle版になってたので迷わず購入。 鈴木清順監督で映像化もされた「二世の縁拾遺」が飛び抜けて面白い。 雨月ではなく春雨を材に取るセンスが素晴らしいです。2018/03/31
Kotaro Nagai
6
古書店にて購入。昭和30年から32年までの10篇を収録。うち「妖」「二世の縁 拾遺」は既読。「男のほね」(昭和31年)は主人公の祖母のエピソードが語られるが、人物の名を女坂の白川家に当てはめることができ興味深い。おそらく、この作品から想を得て「女坂」が創作されたのでは?「耳瓔珞(みみようらく)」「水草色の壁」は作者の病体験に基づく作品で著書の個性が出ていると感じる。2022/09/14
np
0
古典への共感っぷりがすごい。蜻蛉日記、更級日記、伊勢物語、春雨物語。汗ばんだ胸で赤い橋を渡り、しゃがみこんで石楠花を見る、じっと見る。 2011/05/13
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