内容説明
半生の情熱を傾け「源氏物語」全五十四帖の完訳をなし遂げた著者が、訳業のかたわらに書き留めた源氏への愛とその魅力を収める「源氏物語」体験の全貌。空蝉に作者・紫式部の自画像を読み取り、宇治十帖に独自の評価を述べるなど、著者ならではの着眼で問題を提起し、さらに、人間の生きざまの哀しさ、宿命の不可思議さを綴る。「源氏物語」への理解と興味をいっそう深める随想集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
クラムボン
17
円地文子は源氏物語の口語訳と並行して、出版元の新潮社の雑誌「波」に「源氏物語私見」と題して一連の文章を発表していた。彼女の訳業に賭ける思いの強さは、新潮文庫版の「序」を読んだ時に痛いほど感じていたので、私見とはいいながら、どの文章からも、生半可に反論しようものなら、返り血を浴びそうな気構えを感じる。特に「六条御息所考」では嫉妬深く執念深いとだけ捉えるのでは無い、「最高の貴族階級の女性の自我が、源氏の情緒でも染め変えられずに、憑霊的なものとして発展して行くより仕方なかった。」との見方は御息所に好意的だ。2025/03/03
_salla
3
「自分は源氏物語の専門家ではなく愛読者なだけで、実際に訳すことになって気づいたことを書く」というスタンスで実際に訳されている時に雑誌に連載されていたもの。 訳した感覚だと漢籍や仏教の教養を持つ女性が書いたもので通説通り作者は紫式部だと思うが、所々の端場(軒端荻と契ったあと「お腹が痛い!」と騒ぐ老女房に会う、夕顔で商いがうまくいかないと嘆く庶民のシーン等)は女くさい匂いは全く感じられない、また宇治については単なる狂言まわしになっている登場人物が多く、こういう雑な人物造形は正編にはなく疑義を感じているようです2024/07/07
バーニング
2
源氏物語本編と並行して読む。本編には著者の解説的な要素がなかったので、まとまった解説や翻訳作業の背景がいろいろ書かれていてよかった。2020/09/17
Gen Kato
2
源氏を訳した作家ならではの源氏物語論。六条御息所分析、深いです。学生時代、もっともっともーっと勉強して、源氏の原文読みこなせるほどの古文読解力をつけておきたかった…(今さらの後悔)2015/12/01
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