新潮文庫<br> 未完の告白

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新潮文庫
未完の告白

  • 著者名:アンドレ・ジッド【著】/新庄嘉章【訳】
  • 価格 ¥451(本体¥410)
  • 新潮社(2016/03発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
  • ポイント 120pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784102045084

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内容説明

「どこを通るかはほとんど問題ではない。ただどこへ向って行くかが問題である」という信念をもって、人生に大胆にのりだしていく少女ジュヌヴィエーブの手記という形をとり、単に自由を希うだけではなく、積極的にそれを奪いとろうとする少女の姿を通して、虚偽的なもの、圧倒的なもの、因襲的なものに対する反抗を描いた作品。思想的激動期に書かれたため未完のままで発表された。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

122
「女の学校・ロベール」の続編。「女の学校」の主人公エヴリーヌの娘が語り手になる。太宰治の「女生徒」に似た雰囲気があるが、こちらはもっと過激で、社会的な広がりがある。訳文は古めかしいが、一人称の瑞々しい語り口はよく伝わってきた。主人公の少女が、クラスメートの少女を好きになるのは、同性愛者だったジッドの経験が反映されているのだろう。少女が独白の中で文学さえも否定するのに驚いた。この否定も、絶えず小説の実験を繰り返し、新しい試みを続けたジッドの文学上の姿勢に基づくのかもしれない。余韻のある結末が素晴らしい。2016/10/18

イプシロン

40
さすがは「良心の作家」ジッドである。わずか100頁で深く人間を掘りさげる手腕は見事だ。社会的満足、個人的満足、身体的満足、精神的満足といった思想を見据え、そこにある矛盾を経験しながら乗り越えてゆく、17歳の少女ジュヌヴィエーヌの語りは爽快でありながら、哲学的である。様々なことを納得し、義務と権利といった相対価値を知りつくすまでは「自分自身に生き」、そこを超えた先では「無私」で生きはじめる。未完作品ゆえ、ここで告白は終わるのだが、冷静に考えれば、この先は書かなくて良かったのだと思える。個人的にその理由は――2019/04/02

コロンブスの卵から孵った雛

15
「女の学校」「ロベール」とともに三部作をなす。上質な文章であり、芸術的価値が高い。社会通念を嫌悪し、払拭しようとした所しか僕には読み取れなかった。2023/10/03

14
初ジッド。未完の小説ということで気になって手にとった一冊。前半の「私」がサラを美しく思う描写が好き。誰かを愛おしく思ったり美しいと思うのには理由なんか無くて、ただひたすらに胸の奥から湧いてくるものなんだ。後半は恋愛や性のことに触れている箇所が多かった。それもやはり胸に響いた。終わり方は未完なだけあって含みを持たせたもので想像力が掻き立てられた。2015/02/22

コスモス

10
今までに読んだことのある「狭き門」や「田園交響楽」はとてもキリスト教的思想が強い作品だったけれど、この作品はキリスト教というよりもフェミニズム的な思想が強い作品だった。百合小説とはまさか予想していなかったけれど、キュンキュンしながら読めた。良い意味でイレギュラーな作品で、完結していたら時代の先を行く名作になっていたと思う。2022/04/10

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