内容説明
彼女は言った――「魔物など、存在しない」。
太古の昔、医術と魔術とは、同一のものであった。
それを忘れた人々は、《妖病》と呼ばれる病の患者たちを、魔物と称し、忌み嫌った。
魔法医師の少女・クリミアと、彼女の幼なじみであり重大な妖病を抱えるヴィクターは、その治療法を探して旅を続ける。あるとき立ち寄った街にて、彼らは「もう一人の自分」と会話する少女と出会う。ドッペルゲンガー。魔法医学においてはすでに原因が判明しているはずの病だが、なぜか原因が見つからない。奇妙に思う二人に対し、少女は――首無しの魔物デュラハンの元から逃げてきたと告げたのだった。
――理性を持つ首無しの生物。
長き歴史を誇る魔法医学界にも資料のない現象。では、それは理論では説明のつかない本物の魔物か……? しかしクリミアは、魔物の存在を認めない。自分のために、ヴィクターのために……。
時を同じくしてクリミアとヴィクターの元に、非道な研究で悪名を轟かす魔法医師が現れる。ヴィクターの妖病を知り、解剖したいと迫る彼女だが……。
はたして、デュラハン、そして少女のドッペルゲンガーの正体とは?
魔法医学史上、もっとも稀な事例を取り扱った、第二集。
※この作品は廉価版です。廉価版にはイラストが入りません。