内容説明
2016年5月に映画化! 「殿、利息でござる!」の原作。
清廉な生き方を貫いた三人を、歴史の中から掘り起こした感動作。
穀田屋十三郎-伊達藩の貧しい宿場町に生まれた商人。同志をあつめて一家離散を覚悟で大金を集め、それを伊達藩に貸し付けて、その利息で、滅びようとする郷里を救おうと奔走。
中根東里-江戸時代を通じて空前絶後の詩才の持ち主ながら、栄達を求めず、極貧のうちに村儒者として死す。
大田垣蓮月-津藩家老の娘として京都の花街に生まれた絶世の美女。家庭に恵まれず、尼僧として京都郊外に庵をむすび、当代一流の文人墨客と交流。
大ヒット映画「武士の家計簿」に続き、気鋭の歴史家が描く日本人の誇るべき美徳。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐々陽太朗(K.Tsubota)
152
中世から江戸時代にかけて武士道が確立されていく中で「人は一代、名は末代」といいながら、後世に名を残し子々孫々の繁栄を願う行動様式こそ日本の心の美しさの原点であろう。そうした心は為政者、権力者に利用されてきたという見方もあろう。しかし私はそのような見方をすべきではないと思う。そのような見方は気高く美しい心を持ってした行為を貶めるものだろう。事実、江戸時代、支配階級であった武士のおおかたは身分の低い町民よりも貧しく質素な生活をしていたのであり、諸外国の支配階級のように人民からの搾取で生きていたのではない。2016/05/06
Makoto Yamamoto
146
『殿、利息でござる』の映画を見て、実話であり原作があるとのことだった。 その原作は『無私の日本人』第一話の「穀田屋十三郎」は映画とほぼ同じストリー。本家の浅野甚内も素晴らしい。 第二話「中根東里」は彼の才能と荻生徂徠のいやらしが目についた。 第三話「大田垣連月」和歌で名前を憶えていたが、改めてその人生の壮絶さを読ませてもらった。 いい話だった。 2020/04/22
むーちゃん
142
歴史に埋もれた無私の日本人三人のことが書かれています。古文書が読むことができることで、このような素晴らしい人を発掘し、紹介してくれるのは素敵なことです。 2019/10/07
あすなろ
136
果たして領民が領主に金を貸し付け、利金を取り続け、役儀をまけてもらうなとということが可能か?実史に基づく作品。中世日本人に宿る精神を解きながら語るこの史実。なかなか読み応えあり、良質な読書タイムでした。磯田氏は、武士に家計簿しか読んだことはないが、別の作品も手にとってみよう。無私の日本人、なかなか含蓄あるタイトルだった。江戸時代中期〜第二次大戦迄続く日本人の精神を解いたものだが、否、ほぼ、現代の日本人にも同様の精神はあるのでは?悪所のみならそれは哀しい。2016/08/16
またおやぢ
134
『願はくは のちの蓮の花の上に 曇らぬ月を みるよしもがな』歴史の中に埋もていた先人に焦点をあて、彼らの生き様を語ることで、この国で暮らしていた人間の哲学と知恵を見いだそうとした意欲作。その時代の人々全員が「無私」の心をもっていた訳ではないだろう。しかし、皆が貧しかったからこそ、物質的な豊さとは異なるところに幸福を見つけざるを得なかったに違いない。一方、物が溢れる現代に暮らす我々は、物的な豊さは即ち幸福ではないと気づいている。不確実な世の中にあって、自らの存在価値を問い、精神の安寧の道標となる一冊。2016/10/12
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