内容説明
わたしが母親になるまでの旅は、母を埋葬した日にはじまった――。本物の魔術を使うことができ、自由奔放に生きた母。わたしはそんな彼女に反発し、大学を出て三十歳になる今まで、まったく違う堅実な人生を歩んできた。だが母が亡くなったとき、奇妙な力を持つ六人の〈乗り手〉が降りてくる彼女の能力を、むりやり受け継がされてしまう。素質のあった妹ではなく、能力など望まない自分になぜ? わたしは母が〈乗り手〉たちをしまっていた、シフォローブの扉を開ける……。母娘、姉妹、家族の絆を深く伝える、世界幻想文学大賞候補作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
36
「母の死が再出発になる」と書くと、ちょっと不謹慎な感じもするが、実際仲のいい親子ばかりではないだろう。親は子供にかつての自分を見、子供は親に自分の未来を重ね、反発してしまうこともある。それも「自分と全く似ていない」とお互いが感じていたならなおさらだ。ところがひょんなことからごく現実的に物事を考え現実しか信じてこなかったトニが、母の遺産を受け継ぐことで今までとは真逆の世界に踏みこむ。“他の人格に憑依される”というのは精神疾患の症状でもあるがぎりぎり悲劇にせず、トニが体験する出来事をユーモラスに描いている。2016/04/13
花林糖
16
(図書館本)面白かった。1990年代半ばのテキサス州ヒューストンが舞台。魔術が使えた母が遺した〈乗り手〉達とトニの物語。姉トニと妹キャンディの関係が読んでいてとても気持ち良かった。2016/04/03
GORIRA800
11
ファンタジーと見せかけておいて実は女性の現実的な悩みをポップにかいた小説です 結構悩みがちな主人公ですが不思議とテレビドラマを見ているように薄明るい気持ちで読めました ありそうでなかなかない風味の作品2021/12/02
凸凹パレード
5
いたこ、だよね。視点が斬新。許しをかんじる。2016/09/18
GO-FEET
5
「ステュアートのファンタジイは、幻想的なスペクタクルを見せるものではない。むしろ、ありふれた現実に魔法の糸を紡ぎ合わせ、妙にリアルな手ざわりの人生を織りなしてみせてくれるものだ。たっぷりの笑いとともに。」(訳者あとがき) 随所にキラリと光る部分多し! ★★★★2016/06/03
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