内容説明
時間とは何と豊かで残酷なことか。深い悲しみを乗り越えていくために人はどのようにして時間に抗い、時間に従順になっていくものなのか。被災地だけでなく、誰もに等しく訪れた5年、その思いのグラデーションに詩人は言葉をつむぐ。過去、現在、未来に向けて思いを伝えるために、その言葉の橋をつなぐために。喪失と再生を求めた「詩の礫」以後の作品を超えて、そして福島という枠をこえて、人間にとっての「時」が持つ普遍を切り取った最新80篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
彼岸花
25
『詩の礫』より5年。本題名の詩に曲がつき、心にしみじみ伝わる。望郷の念を抱きつつ、そこには帰れない星が多数彷徨っている。お墓に避難(自死)された女性に、胸が締めつけられる思いだ。「孤独死」の三文字が辛く、重くのしかかる。福島原発の事故の終息に、十万年後という、気の遠くなるような日々を経なければいけないのか。皆が泣いている。二度とこのような悲劇を繰り返してはならない。何かにしがみついてでも、生きていくことの厳しさを実感させられる作品だった。明けない夜は無い…10年経過しても、廃炉までの道のりは遥か遠い。2021/03/10
けんとまん1007
16
和合さんの詩には、そこに暮らす人たちの息遣いがある。そして、それを肌感覚で伝える和合さんの眼がある。だから、自分の魂に響いてくる。福島の記憶が、時の経過とともに風化し、忘れ去られようとしていると感じることがある。そこには、意図を感じざるをえない。除染と言う言葉は、単に、場所を変えたに過ぎない。しかも、それがわずかの間に、雨の影響などで行方不明にもなっているという。それでも、人は、生き物は、そこで生きているのだ。明日に向かって。それを忘れてはいけない。2016/06/12




