内容説明
フランスの暴政を嫌って渡英した亡命貴族のチャールズ・ダーネイ、人生に絶望した放蕩無頼の弁護士シドニー・カートン。二人の青年はともに、無実の罪で長年バスティーユに投獄されていたマネット医師の娘ルーシーに思いを寄せる。折りしも、パリでは革命の炎が燃え上がろうとしていた。時代の荒波に翻弄される三人の運命やいかに? 壮大な歴史ロマン、永遠の名作を新訳で贈る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェルナーの日記
287
【再読】以前読んだものは、同新潮社の上・下2巻に分冊されたもので、今回は1冊になったものを読みました。かなり前に読んだので、やはり細部は忘れておりました。しかし、ディケンズの作品は細部の描写を真骨頂にしているので、彼の作品は定期的に再読したほうが良いと考えます。ところで作品の舞台背景となるはフランス革命。1789年7月14日~1795年8月22日において『自由・平等・博愛』の名の下において行われたが、実情は残酷極まりなかった状況だった。特にロベスピエールが台頭した時期は”恐怖政治期”とも言われている。2021/09/10
ケイ
132
フランス革命前後のパリでは、貴族の横暴がまかり通り、民衆は飢え、その不満と怒りは飽和点に達しようとしていた。ロンドンでは、アメリカの独立など反王国に荷担するものには容赦がないが、パリほどの混乱はない。そんな中、フランス人ではあるが、その暴政を逃れてイギリスで暮らす親子や貴族の若者を通し、人としての在り方、集団がもちうる狂気、思いやりや愛が描かれている。中盤からの話の流れは、「カラマーゾフ」の後半の息もつかせぬ展開と「レ・ミゼラブル」のパリの地下を思い出した。最後の二頁には、心を激しく打たれる。2015/06/14
はたっぴ
107
読みたかったディケンズをようやく読了。臨場感のある挿絵が物語に彩りを与えてくれて有意義で密度の濃い読書だった。片や善良な主人公と家族や知人達、片やフランス革命で豹変したドファルジュ夫妻や労働者達。天使と悪魔のような好対照の人物像が丹念に描かれ、後半は手に汗握る場面が続く。貴族達の横暴に追い詰められた群衆の逆上ぶりが凄まじく歴史の重みを痛感。個人の精神や意思とは掛け離れた次元の違う集団心理が、街を破壊し人々を痛めつけていく中で、カートンの侠気のある行為に人間の崇高さを感じた。偉大な名作である。【G1000】2017/01/15
やきいも
107
フランス革命下の英仏が舞台。1859年発表の当時のベストセラー小説。男性2人と女性1人による恋物語。時間を超えて読み次がれるだけの事はある、重厚な大作だと思う!独特の格調のある文章が何より素晴らしい(古くさい古典調の文章が苦手な方にはおすすめしにくいですが。)ストーリーは...最初は古典特有の古くささや文章の読みにくさを感じて退屈だった。しかし、途中からひきこまれるストーリー展開になり最後がすごく気になり一気に読み終えた。時間をかけて読み直したい。2016/11/29
ペグ
98
フランス革命時、イギリスとフランスを股にかけた人々の物語。陰謀、復讐、愛など、あらゆる要素を盛り込んで、スリリングなシチュエーションの中で描いたエンターテイメント。魅力的な人物描写に今更何も言うこともない名作だと思う。やはりディケンズは素晴らしい!2019/02/08
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