内容説明
“究極のハイクラス・リゾート東地中海の真珠キプロス島”女性誌の編集部員響子の海外取材は、このキャッチコピーのようにいくはずだった。だが実際は限られた予算と日程をやりくりする、カメラマンとの二人旅。そして風光明媚で文化遺産に恵まれた島は、民族と文化が複雑に交錯する紛争の地でもあった。39歳、夫も子供もいる女に訪れた、束の間の恋。圧倒的なリアリティをもって迫る長編小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
304
主人公(語り手)は30代後半の女性編集者、響子。忙しさに追われる日々の仕事。もちろん、家事と仕事の2足の草鞋だ。夫と小学生の男の子と姑との3世代同居の家。今回の仕事は「究極のハイクラス・リゾート 東地中海の真珠キプロス」の取材だ。小説は響子と冴えない中年男のカメラマン檜山との非日常の5日間を描く。暑熱のキプロスと響子が知らなかった現実。それにしても篠田節子さんはうまい。葛藤こそは現実的だが、その取材力と小説としての構想力は、エンターテインメント作家の中でも群を抜く。エンディングもまた、ことさらにせつない。2017/03/02
Shinji Hyodo
86
地中海の最奥に浮かぶキプロス島が「東地中海の真珠」と呼ばれ「究極のハイクラスリゾート」であることなど知りもしなかった。ましてや、ギリシャ・トルコの両国の軍事介入により南北に分断されているという事実も…。女性誌の編集者である響子は、若い女性向けの旅の企画としてキプロスへの取材に出かける。現地では蒼い海と空、世界遺産の教会や超豪華リゾートホテルの取材で、個人的な心の不調はさて置き、淡々とこなせる取材旅行のはずであった…のに、同行のカメラマン檜山はどうにもきな臭い場所に響子を導く。2017/03/31
James Hayashi
29
緩やかな雰囲気の中始まる女性誌の編集員とカメラマンによるキプロス取材記。地中海の高級リゾートのイメージを持たれているが、ギリシャとトルコの紛争地帯であり、ストーリーは深みにはまっていく。40歳を前にしたキャリアウーマンであり、家庭に会社にストレスを持つ。そんな響子であるが、カメラマンに振り回されしなくていい経験をしていく。彼女がキプロスで経験したことは彼女のターニングポイントになったことであろう。何処となく「コンタクトゾーン」と似通ったものを感じたが、より現実的なストーリー。だがモヤっとした読後感。 2015/05/01
エドワード
27
響子は女性誌のベテラン編集者。究極のハイクラス・リゾート、地中海の真珠・キプロスへ、経費節減でロンドン在住のカメラマン檜山と二人で取材に赴く。到着するや、機内預け荷物は行方不明、檜山は冴えない中年男で方向オンチ、とトラブル続き。ところがもっと最悪の事態が待っていた。ギリシャ系住民とトルコ系住民が衝突し、内戦状態に。とどろく銃声、爆音!誰だ、キプロスは安全で最高と言ったヤツは!緩衝地帯に不法侵入した二人は軍に拘束されてしまう。最後まで緊張感あふれる展開、印象がくるくる変わる檜山は果たしてスパイかナイトか?2014/03/15
マリリン
23
常に不機嫌そうな主人公響子の人物像にはあまり好感が持てなかったが、作品のテーマは興味深く最後まで飽きることなく読んだ。僅かな時間軸の中で大変内容が濃い作品だったものの、今まで読んだ作品とは違った色を感じた。写真家内藤利朗氏の事を書いた本を読んだ後だったので、やや色褪せた感を持ったのかもしれない。2018/10/28
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