岩波文庫<br> 辻征夫詩集

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岩波文庫
辻征夫詩集

  • 著者名:谷川俊太郎
  • 価格 ¥616(本体¥560)
  • 岩波書店(2016/03発売)
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  • ISBN:9784003119815

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内容説明

やさしくて,茫洋として,卑下もせず,自慢もしない――.実際に生きているリアリティーを話し言葉を巧みに使って書かれた素直なことばが,混沌とした重層的な時空間をうみ出す,現代抒情詩の第一人者辻征夫(1939-2000)のエッセンス.全作品から70篇を精選し,自筆年譜を収録した.(対談・解説=谷川俊太郎)

目次

目  次

 『学校の思い出』──(思潮社、一九六二)
  沈 黙

 『いまは吟遊詩人』──(思潮社、一九七〇)
  あしかの檻
  池袋 土曜の午後
  野 犬

 『隅田川まで』──(思潮社、一九七七)
  隅田川まで──作文の試み
  春の問題
  婚 約
  挨拶──結婚に際して
  風

 『落日』──(思潮社、一九七九)
  雨
  路地裏の翼

 『辻征夫詩集』──(現代詩文庫、一九八二)
  タバコ
  三つばかり

 『天使・蝶・白い雲などいくつかの瞑想』──(書肆山田、一九八七)
  天 使
  珍品堂主人、読了セリ
  屑屋の瞑想録(抄)

 『かぜのひきかた』──(書肆山田、一九八七)
  ある日
  まつおかさんの家
  かぜのひきかた
  桃の節句に次女に訓示

 『鶯』──(書肆山田、一九九〇)
  突然の別れの日に
  剃 刀
  ちるはなびら
  鳥 籠
  ひるのつき
  鶯

 『ヴェルレーヌの余白に』──(思潮社、一九九〇)
  昼の月
  レイモンド・カーヴァーを読みながら
  夏は緑の葉っぱの子供と
  ラブホテルの構造

 『ボートを漕ぐおばさんの肖像』──(書肆山田、一九九二)
  ボートを漕ぐ不思議なおばさん
  浜木綿のかげに運動靴を置いて
  雲
  郊外の道を歩いていたら
  おじさんがいっぱい
  遠い花火
  おばさんとぼくと私──或はおばさんの出現と消滅

 『河口眺望』──(書肆山田、一九九三)
  ハイウェイの事故現場
  そしてきみたちが寡黙な影となって
  雨
  豚 祭
  音 楽
  突然訪れた天使の日の余白に(抄)

 『俳諧辻詩集』──(思潮社、一九九六)
  吾妻橋
  遠い火事
  夏の川
  夏 館
  林 檎
  慶 州
  落 葉
  耳 朶

 『萌えいづる若葉に対峙して』──(思潮社、一九九八)
  萌えいづる若葉に対峙して
  おじさん狩り
  チェーホフ詩篇(抄)
  玉 虫
  風の名前
  ジョン・ダン風に晩秋の東京から
  蟻の涙
  学 校
  月 光
  反ロビンソン
  ワイキキのシューティングクラブ

 『辻征夫詩集成 新版』──(書肆山田、二〇〇三)
  蟻の涙 2

 単行詩集未収録詩篇から
  少 年(抄)
  象 よ
   (もう生きていたくないから)
  潮干狩
  海
  旅の記念
  野球場で
  詩の肉体
   対談(辻征夫・谷川俊太郎)
   辻さんの言葉を頼りに(谷川俊太郎)
   辻征夫自筆年譜

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

114
胸の中にあるわだかまりや憂鬱をすうっと溶かしてくれる力を持った素晴らしい詩集。非常に読みやすいので、詩が苦手な方でもお勧めです。日常の言葉から遠い詩的な表現はほとんど使われず、散文的な言葉を丁寧に組み合わせて、ほろ苦くてユーモラスな世界を作り上げています。読んでいて何度かくすりと笑いました。とは言え、詩人として志は高く掲げていた詩人だったようで、俗に流されない詩魂がどの詩にも脈打っています。このような詩集を出版してくれた岩波書店に深謝。お気に入りの一節をコメント欄で紹介します。2015/04/06

つねじろう

60
その詩人といつ出逢ったかはっきり思い出せないが場所は歯医者の待合室だった事は間違いない。あしかのエロチックな〈黒〉を見るとその歯医者を思い出すもの。その詩は実に滑らかにスルスルと心に入って来て虫歯を忘れさせてくれた。たぶん高校生だった豚は「婚約」や「昼の月」なんか特に喜んだのかもしれない。そう「豚祭」も。この歳になって読んでみると同じ箇所で反応したりして成長の無さに笑った。谷川俊太郎との対談もグッド。ごく自然にお酒を飲むのが天使になる秘訣だっていうから飲んでるけどまだ気配がないのは修行不足でしょうか?2015/10/10

佐島楓

58
現代詩手帖の特集で名前を知り、どうにも気になって探し、購入。完全な絶望はなく、人と世界を信じていた方なのだろうということが詩や文章から伝わってきた。どこかのどかだったり、おおらかだったりする心象風景が、平易な言葉で綴られているのがとてもいい。不意打ちのような「蟻の涙」に涙しそうになった。2019/07/13

suna

30
「婚約」という詩をある雑誌で読んで、印象に残ったので、この詩集を読んでみました。谷川俊太郎さんの解説にもありましたが、辻さんは近所の人に話しかけるような口調で詩を書いているところが、読みやすいと感じさせてくれるところなのかなあと思います。2015/06/15

ちぇけら

29
再読。1オクターブの沈黙がふりしきる夜に、秋田行きの夜行バスを待つ少女と逢った。彼女はまっ赤な口紅をひいていて(お世辞にも上手とは言えない)、たいして会話も弾まないまま(さい近の天気、品切れのマスク、潮干狩)、またねと言ってそれっきりだった。ほんとうは、口説き文句の1つでも言って(胸の高鳴りがおさまらないのはきみのせいだぜ)、それから気取ったお酒をのんで(シェリーとかマティーニとか?実はよく知らない)、鷗のように青白い月を、肩を抱いて眺めてみたかったな。1オクターブの沈黙がふりしきる夜に、たったふたりで。2020/03/15

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