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内容説明
王道政治・民意尊重を理念として掲げ、国と人のあるべき姿を追究した『孟子』――混沌とした時代を志高く生き抜くために、我々は今こそ「孟子の精神」にその指針を求める必要があるのではないか。本書は、東洋学の泰斗として多くの敬仰者を持つ著者が、「性善説」に基づく仁義礼智の思想をわかりやすく解説した講話録である。人間の一番大事な要素は、明るさ、勇気、愛する心であることを説いた「人間としての徳性」、思いやりの精神で周囲に接していけば(恕)、自身も進歩向上していく(仁)ことを説いた「恕を強めて仁を行う」、大いなる理想に向かうこと(敬)も大切だが、もっと大切なのは恥じる心を養うこと(恥)であると説いた「敬と恥」、本当に優れた人物は、指導者がいなくても自ら興ることを説いた「猶興の士」……など、良心・良識を重んじ、敢然と生きることの大切さを披瀝している。己を磨き、心を高める智恵を学べる「先哲講座」。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Yuma Usui
18
8年ぶりに再読。気持ちを奮い立たせるには孟子はやはり良いと思う。山田方谷が陽明学の立場から浩然の気の章に関して講義を行った「孟子養気章講義」の存在を今回あらためて知り一度目を通してみたいと思った。墨家の「兼愛交利(人として広く人を愛して、公利と他利で交々に利する、互いに利益を交換する)」や楊家の「為我主義(他人のことでお節介をやくのでなく、すべてが己自身を問題にし、己自身を為(おさ)めればいい)」との考え方も面白く感じた。2023/09/11
吟遊
10
「現代」への繰り言がすごい。2019/11/22
大先生
5
再読。孟子の真骨頂は「自反」「尽己」。「自反」は、自らかえりみること。「尽己」は己を尽くすこと(己に尽くすことではない)。幕末の儒家・森田節斎は、まさに自反する人物で、孟子を数百回読み込んで全篇を暗誦するほどの情熱家。36歳のとき、自分を賈生(漢の洛陽の人・年少で秀才だった人物)と比較して自分なんて駄目駄目だと反省。この手紙も他人に見せず読んだら焼けという徹底的な自反ぶり(笑)私も、36歳。予定ではもっと大人な上級国民になっているはずだったんですが。って安岡先生の本の感想で冗談は良くないですね。反省。自反2020/07/03
大先生
3
孟子というより、安岡正篤先生の凄さに圧倒されました。昭和35年の講義内容ですが、全く古びていません。当時、共産主義や進歩的文化人なるものが流行していたとか、終末論だとか、ビートニクなど、確かに古い話題もあるにはありますが、現代にも通じるものがあるように思います。現代人こそ、必読の一冊でした。猶興の士を目指しますか!2020/04/03
おさと
3
孟子についてもっと学びたくなった。自分自身、ただの大衆の一人であり、できることは少ないかもしれないが、一人の大人として、父親として、子どもにカッコいい姿を見せたいと思った。まずは子どもの前で愚痴をこぼしたり、疲れた顔をしたりすることからやめよう。今はなんだか、学校の先生と親御さんたちが敵対しているように感じることもあるが、そんなことをやっている場合ではない。大人たちが協力して、まずは子どもたちに立派な姿を見せよう。そうすれば少しずつ日本も変わっていくんじゃないかな。なんてことを考えさせられた。2019/09/16