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内容説明
人間研究の宝庫といわれ、何百年にもわたって多くの人々に読み継がれてきた絢爛たる中国歴史絵巻『十八史略』――本書は、東洋学の泰斗として世人の敬愛を集めた著者が、深みと風格のある解説で『十八史略』の妙味を語り明かした講話録である。「鼓腹撃壌」(帝尭陶唐氏)、「一饋に十たび起つ」(夏・禹王)、「酒池肉林」(殷・紂王)、「暴を以て暴に易う」(周・武王)、「臥薪嘗胆」(呉王の夫差)、「誰か烏の雌雄を知らん」(孔子の孫・子思)、「鶏口となるとも、牛後となることなかれ」(蘇秦)、「三年飛ばず鳴かず」(楚の荘王)、「先ず隗より始めよ」(燕の昭王)……など、三皇五帝・三代の治から、孔子や孟子、老子の思想、戦国時代の英傑が残した故事格言までを取り上げながら、中国古賢・先哲の知恵をいかに現代に活かすかを説き明かしていく。混迷の続く現代を強く、たくましく生き抜く方途を開示した「人生の指南書」。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
20
十八史略の訳だと思っていたら、違いました。十八史略からエピソードを抽出しそこから話を拡げていきます。話を通じて中国の文化や感性に触れました。賄賂の話が印象に残りました。2021/12/10
Willie the Wildcat
17
歴史。国家や個々人の栄枯盛衰に一喜一憂するのではなく、1つ1つから学び。特に人間学の観点。但し、前提は言葉。常に真の意味を問い、理解、そして身につける。印象に残るのが「水」と「道」。前者は、人生。山あり谷ありを超え、見えるもの。それが「水」という気がする。いつか感じたいものだ・・・。次に「道」。人生の根本原理とも感じる。人物では、呉起と田文。武候の宰相選定時の問答が秀悦。2013/11/27
大先生
12
かなり読み応えありの300頁超!それでも安岡先生の解説が面白いので、なんとか挫折せずに読み切れました。例えば「閨門治まらざる」など。孔子は女癖が悪くても天下国家の政治には格別関係ないと言っていたんですね。政治家の皆さん、是非覚えておくといいです。まあ、引用したら顰蹙を買うでしょうがね(笑)。他にも「西施の顰に効う」とかも面白いですね。美人の西施がしかめ面でも趣きがあったのを見て、不器量な女がその真似しているのはとても見られたものではない。とんでもない人間が立派な人物の真似をすることを「顰に効う」というと。2021/12/06
くらひで
9
13世紀初頭、南宋の曾先之によって記された、古代三皇五帝から南宋滅亡までの史記について、著者の講演会の内容をまとめたもの。昭和50年前後に経済界有志の人に対して、人間関係や人生の処世術、などの観点から解説。東洋思想の基本概念である道徳について言及。孔子・老子などの諸子百家、戦国時代の英傑など人物の言動を中心に展開し、臥薪嘗胆、鶏口牛後、3年飛ばず鳴かず、等の格言の出自を解説。 40年ほど前の講演で、当時の政治情勢なども織り込んでいるが、現代でも通ずるところもあり、普遍性のある思想・人間性が通底している。2016/09/16
vip2000
6
小説で十八史略を読みました。この本は漢文に仮名をふりその後解説という文章体系です。学生時代に習った文法解釈の漢文ではなく、本来の深い意味を解説してあるので、より理解が深まります。"いぶし銀"という言葉がありますが、まだまだ日本には骨董や盆栽を尊ぶ文化があり、西洋化されたとはいえ、混濁した美を愛する根底は中国思想の影響が随所にあることが、良くわかりました。下巻はロングブームの三国志時代に突入します。2016/08/10