内容説明
まさか私がルーツ探索にはまるとは。父の遺品整理で曾祖母が遺した手記を見つけ、ファミリーヒストリーを探る旅が始まった。桜田門、関宿、沼津、青山、佐倉、上野、浅草。幕末の戊辰戦争の逃避行に始まる一族の歴史を調べていくと、いつしか先祖が身近に感じられ、はるかな子孫の私に繋がってきた。自らのルーツを辿る感動の物語。※単行本に掲載の写真の一部は、電子版には収録しておりません。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
風眠
44
江戸時代。今はもう物語やドラマや映画の中にしか存在しない時代。実際にそういう時代を経てきての「今」があり、私たちがいるのだ、と、頭では理解できても、実感することができない。著者の中野翠さんの曾祖母が、江戸家老の娘だった事が分かり、ルーツを辿ってゆくファミリーヒストリー。喜寿のお祝いで撮影されたみわさんの写真からは、キリッとした品格と風格が漂ってくる。さすがは家老の娘、年をとっても座姿がきまっていて、所作の美しさを感じさせる。時代劇の話ではなく、本当に江戸時代があって、懸命に生きていた人たちがいたのだなぁ。2016/07/02
宇宙猫
30
★ 物語じゃなかった。著者の曾祖母が家老の娘で、そこから先祖ゆかりの地をめぐったりするのだけど、この著者のことを知らなかったので興味が持てなかった。2016/02/18
なにょう
16
小説かと思いきや、ノンフィクションだった。チョンマゲに刀をさしたお侍も、懐ろに守り刀をすた綺麗な御新造さんも我々の五代、六代前の先祖の話なのだ。★筆者の家にやってきたダンボール数箱の父親の遺品。曽祖母の書き付けが残っていた。書き付けには佐倉、関宿、上野、沼津、先祖の流浪の日々が記されていた。その足跡を実際にたどってみる著者。そして、先祖ゆかりの地は意外に身近にある事に気づく。★お城、武家屋敷、跡形もなくなった所は多い。残念だね。2017/03/11
T. みぃた
14
いちまき【一巻】血族の一団。冒頭の家系図が凄いなぁ。ルーツ探索のきっかけは、曾祖母・中野みわ(家老の娘)の自叙伝と出会ったこと。みわの父・山田大夢の話がほとんどで、時代に翻弄された人々の一端を見ました。流浪の人・大夢は小説の題材になりそうな人です。歴史上の人物とも交流があったりで、一冊の本に成りうるのでしょう。狐さんが気になります。2015/12/17
マッピー
9
これは小説ではありません。著者・中野翠が父親の遺品整理をしていて見つけた曾祖母の手記。そこに記された維新前後の一族の人生。関宿藩の江戸家老の家に生まれた曾祖母。生まれた場所は桜田門外。歴史に翻弄され、住まいも名前すら転々と変えながら生きた高祖父(曾祖母の父)。その人生は歴史小説を読むように面白い。そして歴史小説並みに有名人が顔を出すのである。「いちまき」というのは血族の一団という意味なんだそうだけど、血族の親族もまた血族だと言わんばかりに繋がっていく縁。江戸時代は決して遠い過去でもフィクションでもない。2017/02/01