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内容説明
刺青、それは閉ざされた美である。暗黒のゆえに極彩の美である。秘めよ、秘められよ、開かれてはならない。いつの日にも俗物への、体制への、衝撃であらねばならない――。生命に彫り込まれた虚構、解脱を拒否した無頼の詩語。それはいかにして芸術に高まったのか。異端美の系譜を追究し続けた著者による、日本刺青の精神史。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
磯良
3
最後の方は任侠物?の映画の話しも混ざったので理解しにくかったが、能の演目や説話を引いた説明の部分で理解ができた。一度彫り込んだものが元に戻せない不可逆性と、それによって証されたはずの愛が移ろうものである、ということが映画の部分の肝。近松とか(もう一人忘れた)の作品を換骨奪胎している映画だったので、原作の構成の良さと映画の換骨奪胎に失敗したポイントが比較されていた。江戸の人情物とか世話物をそういう文ジャ的な視点で読んだことがなかったのでちょっと新鮮。2018/12/10
ankowakoshian11
1
なかなか難儀でした。刺青に関する下りは納得するものがあり理解も出来たのだけれど、中盤の性については難しく自分の教養が足りず。絵金については大変興味深い視座でした。死については武士道における主従間と絡めて男色/恩/冥婚を紐解いておられましたがこれも難しく。古典の教養もある程度は必要でした。2021/01/30
ygreko
1
自らの肌に永遠に刻まれた「刺青」は日常を拒否する誓いであり、いれずみやタトゥーと異なり、隠されなくてはならない。だからこそ、その顕れを目撃した筆者の経験は強烈なトラウマとなった。砂の城とともに。 2016/06/10