内容説明
今あったことはさっきになり、そのうち過去となって、忘れ去られる――。この世に確かなものなどあるんだろうか? そんな問いを繰り返しながら布団の中で映画を見、音楽を聴き、本を読んで、夢をみる。大好きな人の声を、忘れたくない風景を、何度も脳に刻み、体にしみこませる。人気料理家が五感をまるごと使って紡ぐ、心揺さぶる濃厚エッセイ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯
30
料理研究家の高山なおみさんが映画、音楽、本などについて書いたエッセイ集。中でも『ヘドロちゃんからの手紙』は目が覚めるようだった。自分の気持ちを言語化して相手に伝えること、ピッタリの言葉が見つからなくても、考えがまとまっていなくても、とりあえず……と、近い言葉でお茶を濁してしまう。そんなことばかり繰り返していたら自分の本当の気持ちがわからなくなってしまう……。まさに、そんな生活をしている自分にガツンとくらわされた一編だった。2017/06/27
ひなきち
18
高山さんの飾らない性格が、文章に出ていた。映画上の話なのか、ご自身の話なのかがわからなくて少し読みにくいところがあったが、独特の高い感性に惹かれる。観たい映画はそう、ふとんの中で観るのが一番。映画を見終わってふとんに潜り込むと、お腹が鳴る理由がなんとなくわかった。2018/12/23
kri
11
ベッドサイドの押し入れの中にテレビがあり、横になって映画を観るという高山さん。吹雪の続く場面を読書中は暖房を控えて指先が冷たくなってしまうという高山さん。映画撮影現場に料理担当で同行していた日々、俳優の台詞に涙する高山さん。「どこまでが本当で、どこからが作りもので、何が本当の時間なのか」教えてほしいと彼女は書く。本や映画や美術や音楽や夢…深く心を掴まれた時、生活以上にリアルな感覚に囚われる。自分の人生が無限に拡大していくような幸せを高山さんと分かち合えた気がした。この本では特に観たくなる映画を教わった。2016/04/22
しい☆
9
映画や小説の感想にからめたエッセイ。 何気ない日常の瞬間が、どれだけキラキラしていたか。2016/12/29
エリ本
8
映画や音楽、本で感じたことや日常のエッセイ。見ながら食べたい料理レシピも。その中で映画「誰も知らない」の感想に純粋に驚いた。捉え方というか感じる部分に。料理家さんだからなのかなぁ。「ヘドロちゃんからの手紙」は良かった。こんな保健室の先生なら子供たちは安心だろう。2023/07/26