内容説明
小泉純一郎、渡辺淳一、谷村新司、志村けん……。数々の著名人を虜にする赤坂の名店「津やま」。そのおもてなしのルーツは「家庭料理」と「東京の味」である。本書は、店の主人・鈴木正夫氏が自らが修業した昭和30年代の銀座の思い出を交えつつ、家庭料理、そして東京の味についての想いを語るもの。鈴木氏は言う。「料理屋の料理ではなく家庭料理こそが一番大切です」。おいしい家庭料理があってこその日本料理、それが氏の持論である。そしてもう一つ、鈴木氏が大切にしているのが東京の味。「東京の素材に誇りを持ち、京都の料理に負けないものを作る、それが私の夢です」と。料理、食卓、銀座の町と厨房の仲間、魅力的な客人たち……。そしてそれらを優しく包みこむ人情。ノンフィクションの第一人者、野地秩嘉氏の聞き書きによる、小さな料理屋の大きな「おもてなし」の物語。なぜ「津やま」が多くの人に愛されるのか、それがよくわかる一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶんこ
42
忘れましたが、多分小泉今日子書評集から。赤坂「津やま」のご主人にインタビューして纏めた本です。料亭の味の紹介というよりは、高級料亭で作る家庭料理の心意気を感じました。鯵の干物、豚の角煮。自宅作っている料理でしたが、目から鱗が沢山あり、細部にこだわった手のかけ方、具や調味料を少なくして、丁寧に作る大切さを教えていただけました。確かに焼き飯には残り物を沢山具にして入れてました。豚の角煮も熱湯で脂抜きをしたつもりになってました。アク抜きに糠ではなくておから、脂身部分を黒くなるまで焼くというのも初めて知りました。2016/07/15