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内容説明
キリスト教の呪縛、オリエンタリズム、国民主義的歴史、世界システム論……「歴史」はどう書き変えられたか!? 「世界史」はどのように創られたのか。キリスト教的歴史観の成立と変遷、国民主義的歴史の誕生など、西欧的世界観・歴史観を根本から考える。(講談社現代新書)
目次
はじめに
第1章 ヨーロッパ古代の世界史記述──世界史記述の発生
第2章 ヨーロッパ中世のキリスト教的世界史記述──「普遍史」の時代
第3章 ヨーロッパ近世の世界史記述──普遍史の危機の時代
第4章 啓蒙主義の時代──文化史的世界史の形成と普遍史の崩壊
第5章 近代ヨーロッパの世界史記述──科学的世界史
おわりに
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Arisaku_0225
17
古代ギリシアの時代から近代まで、西洋の歴史家がどのように「世界」を捉え、歴史を編纂してきたか。古代から近代に時代を経るに従って「世界史」は「ヨーロッパ中心」に広がっていく。高校の頃「なんでヨーロッパの話ばっかなんだ」と 疑問に思っていたが、なるほど今の近代的な歴史学はヨーロッパで誕生し、「世界史」はヨーロッパ中心に書かれている。高校の科目が「歴史総合」になった今、どのように歴史を教えているのか、ちょっとばかし気になった。2023/12/20
oDaDa
13
ヨーロッパにおける、世界史という学問体系がどのように形作られてきたか、その歴史。最初は、聖書に権威を与えるだけの普遍史に過ぎなかったのが、啓蒙主義以降に科学的実証を行う歴史学へ移項。しかしそれも、ヨーロッパの歴史を発展し続けるものとして位置づけ、外部(アジアやアフリカ)を停滞と位置づけたことに問題があった。こうした「自生的発展観」は正しい歴史認識を行うこと自体を停滞させてしまうことになる。2014/05/17
ヤギ郎
12
歴史時事を年代順に描いたというより,歴史の「思想」を年代順に記した一冊。歴史を記すという意味から,人々(特に学識あるヨーロッパの人々)がどのように歴史を認識し,記録したかに焦点を当てている。たくさんの古典に言及しているので勉強になる。最後に,日本の学校教育における世界史の教授方法を指摘している。受験勉強のための世界史を学ぶ人にはためにならないだろう。2017/11/17
サアベドラ
12
ヨーロッパにおける世界史叙述の歴史を古代から現代まで駆け足でたどる。著者の専門は近代ドイツの歴史叙述、歴史思想。古代末期から近世にかけてヨーロッパ人の世界認識を規定した「キリスト教的歴史観」を扱う前著『聖書vs.世界史』(1996年)を敷衍し、古代と著者の専門の近代、現代をも加えて通史にした。新書で扱うには範囲が広すぎるし(そもそも一人で扱いきれるテーマじゃない気が)、著者の専門以外の部分でちょっと承服しかねるところもあるが、まあヨーロッパ人の世界史像の変遷を手っ取り早くつかむのにはよいと思う。2014/12/27
アポトキシン
9
古代から現代までの歴史学、歴史叙述の動きをまとめた1冊。時代を経る毎に歴史家たちの視野が広がり、中世~近代まではヨーロッパ、その中でも西欧に都合の良い歴史叙述がほとんどで、アジアやアフリカは停滞しており、古代的だと思われていた。「歴史は勝者によって作られる」と言われているが、これからの時代は立場の強い国中心の歴史ではなく、広域的で正しい歴史学が求められると思う。2018/07/12