角川文庫<br> バイバイ

個数:1
紙書籍版価格
¥440
  • 電子書籍
  • Reader
  • ポイントキャンペーン

角川文庫
バイバイ

  • 著者名:鷺沢萠【著者】
  • 価格 ¥396(本体¥360)
  • KADOKAWA(2016/03発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
  • ポイント 90pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784041853054

ファイル: /

内容説明

はじめて会った日から1年、付きあいはじめてからは7、8か月が過ぎても、喧嘩らしい喧嘩は一度もなかった。勝利と朱実のあいだはとてもうまくいっていたはずだった。「結婚」ということばこそ、ふたりのあいだで口にのぼることはまだなかったが、どちらかがいつ言い出してもおかしくないような雰囲気だった。何の問題もない恋人同士のように見えたはずだ、と勝利は思う。たったひとつの問題は、勝利に、朱実以外にもそういう付きあいをしている女性が、あとふたりいることだった……。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

376
勝利と圭子、薫、朱実の三人の女性の物語。幼少時から恵まれない境遇に育った勝利は人間を信じることができない。それ故に「相手に嫌われない」ことを信条にこれまでの生を送ってきた。三人の女性との四角関係に身を置くことになったのもひとえにそのせいであった。ただ畢竟彼のこの人生観は孤独と寂しさの裏返しではなかったか。彼にとって愛は自らの寂しさを慰めるものでしかなかったのである。対する女性たちの示した態度は三者三様。復讐の朱実、別の相手との結婚を選ぶ薫。そして圭子は残るのだが、彼女の愛もまた孤独からの逃避であったか。2021/09/18

(C17H26O4)

69
「じゃあ切るよ、バイバイっ」いつかの通話の終わりの声が、記憶に残っていて悲しくなる。いつかの「またね」の声も。どっちだってなんだって振り返ったらたまならく悲しくなってしまうのだけれど。じゃあいつもどう言って別れればいいんだろう。どう言ったら悲しくないんだろう。でもバイバイは、嫌なんだよ。ねえ、分かるかな。自分を失うほどの激しい恋をして、強くなってみたかった、なあんて思った。思えば若いころ、途中で怖くなって逃げてしまってばかりだったから。多分わたしもショーリと同じ。相手のことも自分のことも信じていなかった。2021/01/01

coco夏ko10角

32
前半は主人公にイライラしたけど、後半になって色んなことに気付いていったり自覚していく流れがよかった。2015/12/26

June

28
父親を亡くし親戚を転々としたために他人の望む言動をとるようになってしまった勝利。流されて相手に応えるように3人の女性と付き合うようになった。それがバレた時の勝利の言い訳は苦し紛れで自分勝手としか思えない。三人三様の女性の反応は、それぞれそういう人はいるだろうなあという感じ。作者は愛とは何か問いたかったのかもしれない。他人を信じられない人は、自分も信じられないし愛せないのではと思う。2019/11/16

S.Mori

26
勝利というとんでもない男が主人公の物語です。彼は3人の女性と付き合っている不誠実な男です。ところが読んでいくと彼にも同情すべき点があることが分かってきます。不幸な家に生まれて、親戚の間をたらい回しにされました。そのために相手の嫌がることを口にするのが難しい人間になりました。でもそんないい加減な生き方が許されるはずもなく、大きなしっぺ返しを受けることになります。切ない話です。寂しさゆえに他人を求め続ける人間の業を、鮮やかに描き出して、胸に迫る小説でした。2020/08/10

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/558501
  • ご注意事項