内容説明
著者の北京での子ども時代を描いたエッセイ。
絵本「100万回生きたねこ」が大ベストセラーになった著者が子ども時代に過ごした北京での暮らしを描いた珠玉のエッセイ。早くして亡くなった大好きなお兄さんとの二人きりの日常生活、お父さんのこと、お母さんのこと、やがて表に出て戦前の北京の町に触れ、お友達ができていく、そして北京を去る日がやってくる。それぞれがさりげなく描かれている日常の鮮やかさ、儚さが印象的。子ども目線での瑞々しい感性が読む者の心に染みてくる。
絵本作家である著者が描く子どもの世界が、大人の心をとらえて離さない。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
飼い猫の名はサチコ
5
長じてから幼少期のことを書く作品は世の中にたくさんあるが、こどもの五感が本作ほど手触り感を伴って表現(再現)されているものは稀有だと思う。生命力に溢れ、知りたがりで、怖がりで、色々汚くて、生々しいこどもという生き物。誰もがこどもだったのに、長じるとディテールは殆ど忘れられてしまうもの。瑞々しい本作に接して、自分も妹や従姉妹とくっついて遊んでいた昔のあれこれや、若かった両親の姿を思い出した。2022/11/28
五月雨みどり
5
以前、別の文庫で何度か読んでいたし、このころの話は、いくつかの本で書かれているので、自分にはお馴染みの話。でも、何度読んでもイイんだよなあ。子供時代の佐野洋子が書いたの?と思うほど子供の視点そのままで、生々しいというか。自然と自分の子供時代も思い出す。2016/03/05
Snowflake
3
図書館。幼稚園に行く前のエピソードなので、6歳以前の記憶ということになる。自分に置き換えると、そんなに鮮明に色々覚えてるかなぁ、と思う。佐野洋子月間?みたいになってるので、大分読んだエピソードが多くなってきている。生きているという実感みたいなものを読んでいると感じる。2020/03/07
CEJZ_
2
1P16行。元の本は1984年刊行の「こども」という本。「小学館 P+D BOOKS」というレーベルには注目していて、サイトを見たり取扱書店へ行って現物を手にし、何冊か買っている。佐野洋子という作家の本は初めて読んだ。「100万回生きたねこ」という本の作者とのこと。これは北京で暮らしていた幼少期のエピソードが綴られている。時代でいえばどのくらいの頃の話だろうか。昭和10年代、終戦前の頃かな。こどもながらに、兄や家族、近所の人々とのふれあいなど、よく覚えているものだなあ。何だか心にしみる。2017/08/01
gongpingchang
2
ムードのいい本 古い北京のムード2016/09/21