内容説明
Gカップの「おっぱい」を自分のアイデンティティとする23歳フリーター・巡谷。同居人は、「自分は臭い」と信じる23歳処女・日田。ゴミ処理場から出るダイオキシンと自分の臭いに異常な執着を見せ、外見にまったく気を遣わぬ日田のことを、巡谷はどうしても放っておけない。日田だけが巡谷の「気が触れそうになる瞬間」を分かってくれるのだ。二人一緒なら、どうしようもなく孤独な毎日もなんとかやっていける――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
風眠
79
あぁ、イタい・・・。こじらせ過ぎて痛々しいよ。Gカップのおっぱいこそが自分自身であり、逃げ場でもあるフリーターの巡谷と、自分は臭いと言い張り、ダイオキシン症候群を証明するんだとこだわり続ける処女で無職の日田。高校時代の同級生だった2人。どちらも孤独で自意識が暴走している。ここまで極端にならないと自分を保てないほどの孤独って、ものすごいなって思う。想像もつかないその孤独は、自分で自分を破壊してしまうくらいの威力なんだな。表現の仕方はすごく下品なんだけど、なんだか切ない寂しい気持ちになる物語だった。2015/04/14
hit4papa
71
二人の非モテ女子の日常が描かれた作品です。ひとりは、巨乳だけが取り柄えのフリーター。ひとりは、自臭症に苛まれる手記家(?)。同居するイタい二人の、しょーもない会話に苦笑いです。露悪的というか、よくぞここまでさらけ出しましたねっ、と感心してしまいます。男に弄ばれる巨乳女子と、その男に処女を奪って欲しい自臭症女子。彼女たちの、彼女たちなりの一生懸命な行動がイタさに輪をかけます。ラストの巨大煙突に登る二人の姿には、その表象するものはともかくとして清々しさを感じました。ただ、著者の他の作品と比べるといま一つかな。2018/09/07
巨峰
57
あの子たちの考えることは変!感覚と衝動が密接に結び付く感じ。よくわからんが、簡単に解られても嫌だろうなぁと。2016/05/09
PEN-F
53
す、凄まじいまでの破壊力ッ‼️ これ程までのパンチ力を秘めた小説が果たしてあっただろうか?🤔 完全にイッちゃってるよね‼️🤩ブッ飛んじゃってるよね‼️😍 「あんたは、あんた自身が原発から出る有害物質なんだよ!ダイオキシンよりずっとひどいの!凄まじい孤独って、そんなの当たり前でしょ!あんたは核なんだから!核が寂しいとか言ってる場合じゃないでしょ!?」....先の見えない暗闇の中、必死に孤独に立ち向かおうとする彼女達.... そして、お互いがお互いを理解しあえた時...私の瞳にはうっすら涙が...。2020/05/04
dr2006
41
流石本谷有希子、読者に忖度しない赤裸々な描写は相変わらずだ。一気読みした!普段は世話焼きだが突発的に爆ギレする主人公の巡谷♀、体質への過剰な自意識によって悲観を貯め込む引きこもりの日田♀。巡谷は、巡谷の部屋の滞在が徐々に増えてきた日田と同居することにした。依存する日田と世話焼きの巡谷はベストな組合せか?二人は高校からの友人だが、なし崩し的に始まった「変人♀×2」の同居はやがて激しい化学反応を起こす。自分の根源を他人に理解してもらえない鬱憤、それを晴らすにはどうしたら?二人のエネルギーが噛み合った瞬間…。2022/01/23