内容説明
スポーツを見つめ続け、鮮やかに切り取ってきた山際淳司。走り去るように人生を駆け抜けた彼が残した最後の作品集。プロ野球、大リーグ、サッカー、プロボクシング……。真摯な視線と深い洞察を持って綴られた文章からは、戦い続ける男たちの声が走馬燈のように甦る。また、映画監督・北野武への貴重なインタビューも収録。彼の最後のメッセージがここにある。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
20
○面白かったです。山際さんの文章は淡々と書いていますが、強弱があり好きです。野球とボクシングの部分が時代を感じながらもいい感じです。タイソンやフォアマンの話は懐かしかったです。2021/08/13
再び読書
12
いつもながら山際氏の文章は清清しい。それでいながら、鋭い洞察力に満ち溢れている。また、スポーツを愛する心意気が伝わる稀有な印象を受ける。王貞治の55本のシーズンの1試合4本塁打の打たれた投手側からの視点や、新たな視点に引き込まれる。淡々としかし内に熱く、氏が亡くなられた事は残念ですが、著作を追っていきたいと思います。またサッカーのコラムではアディダスのホレスト・ダスラーの話も出てきて、感慨を深くしました。2013/12/07
読み人知らず
4
ボクサーの話が好きだ。マイクタイソンの強さ、フォアマンの強さ、読んでいて実際の試合の熱気を感じる2016/11/19
ぼっせぃー
2
山際淳司は事実を美しく積み上げる。ドラマチックに放たれたホームラン。そこで、打たれた投手の方に目を向け、その投手がその試合その時間に至る過程を描き、“重み”を生じさせる。よりドラマチックに、ではなく、そのホームランに“重み”が付加される。“重み”とは実感のようなものだろうか、よくわからない。また、監督が動きを止めたわずか30秒間、そこに何かあると目を向ける。果たして監督はその30秒を記憶していない。しかし、そこでの采配により流れは生まれたのだ。山際淳司は、そういう事実をさらっと書いてみせる。意味ありげに。2012/02/20
よっさん
1
スローカーブを・・・に続き2作品目の読了。取材をどこまでされて書かれていたのか?今となってはわからないが、とても面白かったです。シーンを切り取る時の視点。緻密な情報量。今でも色あせる事なく、すっと入ってきます。カズ・イチロー・本田・大谷・錦織・松山・・・山際さんの文章を現代でも読んでみたかったです。2017/01/17