内容説明
斬新な日本史講義がハーバードで熱狂を呼んだ歴史学者が、ケンブリッジに移って選んだテーマは「17世紀の数学史」。近代国家が成立する以前、知識人たちは 国家の枠にとらわれず、自由に知識を交換しあっていた。著者は京都で花開いた和算を起点に、西洋、さらには中国の数学文化まで縦横無尽にたどっていく。「知の生成」の瞬間を追い求め、真にグローバルな時代に相応しい歴史の語り方を探った知的興奮の書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おさむ
30
米国のハーバード大で白熱日本史教室を開いて有名な著者が、今度は英国のケンブリッジ大で数学史を研究する。そのバイタリティーには感服いたします。ただ、本著はやはり数学にある程度素養があり、かつ好きな人向けで、万人向けではありません。その辺りが数学者ながら万人向けの見事なエッセイを書ける藤原正彦さんとの力量の差ですね。2018/07/30
to boy
21
再読。著者の言いたかったことをこの薄い本で説明するにはちょっと無理があるかもしれません。論理の飛躍(というか説明不足)があって考えに追いついていけない所もあります。が、結論は素敵です。「世界」というと自分には大きすぎるので、「今いる会社」と捉えると(←狭い視野ですね)少し分り易くなりました。会社独自の風土に捕われることなく外に出ても通用する考え方、行動が大切なんだなと、勝手に解釈しました。2016/10/07
to boy
20
英米の大学で活躍されている著者ならではの発想。国、人種などにとらわれずグローバルな世界史を意識することの大切さを数学を事例に書かれています。でも、日本人であることを否定するのではなくそこはコアとして大切にしながら歴史を見る姿勢に共感。著者の述べる5つの共感のなかでパッションが大事だと私は感じました。2016/04/05
とびを
16
知っていることばっかりだったな。もっと厚みのある話がよかったな2015/10/11
mit
14
著者はグローバルでマルチカルチュラルな歴史研究の心構えなるものを示しているが、別段新しいアイデアがあるわけではない。同じような切り口で似たような歴史のレポートがいくらでも書けるだろう。肝心の数学史は切りそこなったようで、面白さがほとんど伝わって来ない。しかしながら、これだけつまらない内容を最後まですらすら読ませる力量は感じられるし、共感できる部分もある。著者の真っ直ぐな姿勢は憎めないが、もう少し中身を掘り下げられないものだろうか。本題に入るまでのケンブリッジ体験記は楽しい。2015/09/15