内容説明
「外なる世界と内なる世界、外なる法則性と内なる道徳性との間に横たわる深淵は、ただ自由な魂だけがこれに橋をかけることができる」(本書「あとがき」より)。刊行後100年以上経つ現在も、まばゆい光芒を放ち続ける、シュタイナー全業績の礎をなしている認識論哲学。社会の中で否応なしに生きざるを得ない個としての人間は、個人の究極の自由をどこに見出すことができるのか。また、思考の働きは人類に何をもたらすのか。シュタイナー四大主著の一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
107
自由について論じたシュタイナーの主要著書の一つ。非常に難解で何度読んでも挫折していたが、今回初めて読み切ることができた。人の命を奪ってはいけない。そのことを人間は直感で理解できる。直感が働くのは、人間の心の内側と外側が思考によってつながっているからだ。本書の内容を自分の言葉でまとめてみた(おおざっぱ過ぎるし、間違っている恐れあり)。個人の可能性に重きを置くのがシュタイナーの思想の特長だ。本書でも人間は様々な制約を乗り越えて、社会全体に奉仕しながら、主体的に生きられることが熱っぽく論じられる。2018/05/27
1.3manen
40
同じく、図書館除籍本。昨年10月下旬、ありがたくちょうだい致しました。本書は、学問が有機的に生きいきとならなければならない、という哲学的な目標を掲げる(019頁)。思考と感情は、本性の二重性に対応している。思考とは宇宙の普遍的事象を共にする要素。感情は狭い自己存在の中に立ち返ることのできる要素(128頁)。直観を通してのみ思考の本質を把握することができる(167頁)。自由な精神は自分の衝動に従って行動する。2021/04/04
磁石
20
哲学は概念芸術である。その芸術としての哲学が、人間の自由とどのような関係を持つのか、人間の自由とは何か、そもそも自由を持っているのか、自由になることはできるのか……。すべての学問は、人格の存在価値を高めるものでなくてはならない、そうでなければ無用な好奇心の満足に役立つものでしかない。この世を超えるなどということは、全て幻想に過ぎない。全ての始まりたる思考は、この世においてもあの世においても同じなのだから。この世の内にしか知覚内容と結びついた時のみ、思考内容は現実的なものとなれる2017/01/25
レートー・タト
17
シュタイナー自らが、彼自身の霊学研究を学び、それを確実なものにしようとする人にとっては基礎となる必読書だと位置づけている主著。しかしまた、本人に言わせると、この書はそうでない人向けにも書かれている。これがどういうことかについて思うことを書いてみたい。本書の核には「自由な行為」としての「思考への思考」が問題となっているが、そこでは思考内容にではなく、思考過程への強力な集中によって、思考そのものに内在せる生き生きとした力(生命力)、想像性豊かな創造力を獲得することが唱えられている。2010/11/25
Gotoran
14
シュタイナーを知るために、一読。より深く理解するには、再読、再々読が必要。神秘学者としてのシュタイナーの言葉、「私は自由を、宇宙過程を表す概念として論じようとしました。人間の内部には、地上的なものだけでなく、壮大な宇宙過程も働いているのです。このことを感じとれる人だけが自由を理解でき、自由を正しく感じとれる、ということを示そうとしました。この宇宙が人間の内部に取り入れられて、その内部で生かされるときにのみ、そして人間の最も内奥のものを宇宙的なものと感じるときにのみ、自由の哲学へ至ることができるのです。続く2011/08/17
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