内容説明
ロシア近代演劇の巨人・アントン・チェーホフ、その波乱の生涯を描く評伝劇。ボードビルに憧れる少年期、医師として活動する青年期、劇作家として名声を得た壮年期、そして結核により死を覚悟した晩年期。生涯を通して彼を支えた二人の女性、妹・マリヤ、恋人・オリガとの心の交流をまじえ、チェーホフの一生をひとつの「ボードビル」として活写する。ボードビルという演劇ジャンルを、高め、練り上げ、文学にしようとしたチェーホフ。「喜劇だ」「いや、悲劇だ」――いまも世界中で喧しい議論の的となるチェーホフ戯曲の本質を、井上ひさしが解き明かす。戯曲本編に併せ、著者自身による「原稿ができるまで」を大公開。※「原稿ができるまで」は、画像収録となります。タブレットなど大きい端末でご覧いただくのに適しています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
50
ちょっととぼけたところもあるチェーホフの、貧しい人々への愛、笑いへの愛。妹マリアの、兄への献身的な愛。女優オリガとチェーホフの愛。そして、チェーホフの想いをチェーホフの手法で描こうと試みた井上ひさしの愛。たくさんの愛がつまった喜劇。オルガとチェーホフの会話から感じられるチェーホフの人柄になんとも心惹かれる。チェーホフとトルストイの文学論議もおもしろかった。2017/01/26
じょうこ
7
2007年初演の戯曲。チェーホフの一生を追う。2幕15場。この集英社版のシナリオ本は、カラー舞台写真あり、著者による原稿メモあり、とサービス満点。読み始めのうちは、舞台写真があるとイマジネーションが損なわれるんだよな~なんて、ぼやいていたのだが……だんだんと引き込まれるにつれ、私は大竹しのぶさん、松たか子さん、そして男優陣(チェーホフ役は少年~壮年まで4人が演じる)たちとともに、シアターの最前列真ん中で、ステージを見上げながら、歌声や照明や足音やアクションや…。堪能していた。いつのまにか。再演求ム。2026/01/11
うめけろ
3
井上先生の戯曲、久しぶりに読んだなあ。やっぱり面白い。チェーホフってこんな人だったんだ、と素直に錯覚してしまう(笑)。昔読んだ本も色々と再読したくなりました。2012/01/05
nightowl
2
前半は倫理的にどうかと思われることでも善意に繋がることもあるエピソードが印象的。後半は井上ひさしなりに代表作についてチェーホフが喜劇と称した解釈が綴られる。著者の中では海外が舞台なだけあってあっさり読める。このくどさがないのが良いと捉えるか物足りないと捉えるか微妙な所(個人的には前者)。また巻末の取材内容のマメさに驚く。こちらを読むだけでも面白い。繊細なチェーホフ一家に対し、「そんなのどうだっていいじゃない!もっと楽しく生きましょう!」な直情的オリガ。さぞ板挟みは辛かったに違いない。2019/03/16
Tan Tan
2
チェーホフが主人公の戯曲。戯曲は後半の妻との会話のやりとりにジンときてしまいました。あの台詞の流れはいいな。井上ひさし作品は観ることはあっても読むことはあまりしてなかったんですが、ちょっと他の作品にも目を通してみたくなりました。この戯曲ができるまでの資料の一部が50ページほど載っているのも作家がどのようにこの戯曲を作り上げてきたのかわかって面白いです。2016/07/03
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