内容説明
清々しさ漂う時代小説。稲葉稔の真骨頂
郷士の長男という素性を隠し、深川の穀物問屋に奉公に入った辰馬。「大名に頭を下げさせる商人になる」という大望を胸に秘めて――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きい
13
武士とは名ばかりの郷士の息子が、大商人になろうと穀物問屋に奉公する話。オール読物連載中に1話ずつ読んでいた時は面白かったのに、続けて読むと今いち。主人公のキャラがしっかり定まっていないような気がするし、結構早い段階で結末がわかってしまったのも残念。2016/04/16
真理そら
7
読んだことがないけれど本屋でいつも気になる作家さんに挑戦。商人として育っていく話かと思って読み始めたが、青春小説っぽかった。事件は起こるけれど善人しか登場しないので殺伐とした要素は全くない。お嬢様は目端の利くタイプのようだから夫婦の行末に不安な要素が全くない。後味が良すぎる小説は少し物足りない気がするのはなぜだろう。優しい作風の作家さんなのかな。もう一冊別のタイプのを読んでみよう。2017/11/08
あここ
6
大商人を目指す若者の切磋琢磨話かと思ったら案外捕り物っぽくて。まぁそれは好きな感じやけど・・無理無理っぽかった。ただの丁稚どんに何ができる?お嬢も岡っぴきも何を求めてる?変なの。初めの短気キャラはどこへ行った?結構グズグズ、お父さんのコトもあれで終わり?下積みは嫌、早く手代に・・って甘いこと考えてる人が大商人になれるとは思わへんし。さして苦労もしてへんし。お嬢さんのおかげちゃうん。江戸に出てくる契機「大名に頭を下げられる商人」ってギトギトの言葉を坊さんが言うたことに驚いた。表紙の絵が活気が溢れてて好きです2016/03/29
山内正
5
婿は岩田屋の次男 盃を交わす時 お民は中座した厠にと探すが 一体何処へ、ひょっとして店に帰ったか 暫くは奥に引っ込んだまま お嬢様は元気ですよと女中が 婿が気に入らなかったと これはコかクかね仕入帳の符丁で 荷揚げの数と合わない 惣七の字だと 気を付けますとだけ答える 辰兵衛はこんな事じゃ店が危ないと お民も惣七が悪いと言う 新しい店が旨く行くかは分からないと 何故自分にそんな事を言うのか 新しい店が燃えたと 惣七が蔵で紙包みをと小僧の勝吉が 何かが起こっているこの店は2021/12/15
山内正
5
塩屋に変たらと干鰯問屋辞めて 箪笥の引出しから手紙 息子辰馬からの江戸で奉公してる 学問習いに行ったんじゃ無かった あの子が決めた事ですと女房が 主人の話を何度となく聞く 丁稚三人を前に旨そうに酒を飲み 浜吉には手代をやって貰うと 後五年も掛るのかと思う 父親が国から出て来た 宿は取ってある今何してると 怒った顔で そこが日本一の越後屋さん 奉公人が五百人で日に千両稼ぐ そうかと聞いた後で 明日帰ると言った2021/11/01