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内容説明
『シャルリとは誰か?』で私はフランス社会の危機を分析しましたが、11月13日の出来事〔パリISテロ〕は、私の分析の正しさを悲劇的な形で証明し、結論部の悲観的な将来予測も悲しいことに正しさが立証されてしまいました。
――「日本の読者へ」でトッド氏はこう述べています。
本書が扱うのは2015年1月にパリで起きた『シャルリ・エブド』襲撃事件自体ではなく、事件後に行なわれた大規模デモの方です。「表現の自由」を掲げた「私はシャルリ」デモは、実は自己欺瞞的で無意識に排外主義的であることを、統計や地図を駆使して証明しています。
ここで明らかにされるのは、フランス社会の危機であり、西欧先進国にも共通する危機で、欧州が内側から崩壊しつつあることに警鐘を鳴らしています。ユーロ、自由貿易、緊縮財政による格差拡大と排外主義の結びつきは、ベストセラー『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる』にも通じるテーマで、前著の議論がより精緻に展開されています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mitei
288
中々欧州は日本から見ると複雑怪奇な世界だなと思う。著者はフランスでは変わり者として扱われるらしいが日本で評判になってフランスに逆輸入のような形で本作を書くことが出来たと謝辞に書かれていたのが印象的。2016/01/24
ケイ
113
コロナ禍の中で、NHKにてトッド氏の話を聴き、デモが起こらない事が(日本)示すことに対しての内容で頷くところがあった。本著の中のカトリシズムのゾンビ化とは、わかりやすい。多くのフランス人が、参加した「 Je suis Charlie」(私はシャルリ)のデモののち、あの日のデモに加わることで自分は本当のところは何をしたのかと自問したというのは理解出来る。信仰を失った社会には何かが入り込む。教会への信頼が薄れた時、フランス革命やナチスに繋がったと彼は言う。なるほど。労働者の半分が極右国民戦線に投票した事実。2020/12/20
kasim
36
『シャルリ・エブド』襲撃事件の後、テロ反対でなく表現の自由を訴えるフランス全土のデモに、外から奇異の念を抱いた(英米もそうだったらしい)。この本は内から声を上げ、国内の弱者の宗教を繰り返し冒涜することは憎悪の教唆に過ぎず、しかも冒涜の権利が義務と感じられるほどヒステリックな状況になってしまった、として分析する。フランスには二つの文化地盤、平等主義的な地域(パリなど)とカトリックの伝統が強い地域(リヨンなど)がある。階層を重視する後者がムスリム排除に傾くのは理解しやすいが、前者では「人間は皆平等→2020/12/06
Y2K☮
34
名著。フランスと日本が抱える問題に類似性を見た。高齢者と富裕層の益に偏る政治、排他的思想の正当化、そしてメディアに捏造された全体主義など。「私はシャルリ」デモに参加した人の多くは高収入の管理職や知的上級職(且つかつてカトリックを熱烈に信仰していた)であり、郊外に住む貧しい若者や労働者階級はほとんど加わっていない。日本で科学的データを見ず、マスコミに洗脳され、いまだにロックダウンだ緊急事態宣言だと主張する連中がどういう層かを考えた。過度に怯えて飲食店に自粛しろと騒ぎ、学生や若者の生活をぶち壊す連中の実態を。2022/01/26
Tomoichi
27
題名から時事ネタの軽い読み物かと思って読んでなかったが、全然軽く無いフランスの現代社会を鋭く分析した一冊。フランスについて多少の知識が無いと難しいかもしれないが翻訳が素晴らしいので読みやすい。日本で深く考えもしないでどっかで聞いてきた政教分離を叫ぶ人たちがいるが是非本書でライシテの功罪を知ってもらいたい。2020/02/06
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