- ホーム
- > 電子書籍
- > 教養文庫・新書・選書
内容説明
史上屈指の汚名を被った男は、なぜ、奇跡の復活を果たせたのか? 戦国武将・仙石秀久といえば、戸次川の戦いで長宗我部信親らを討死させる大敗を喫したことで批判されてきた。「三国一の臆病者」とまで罵られたほどである。本作は、そんな汚名にまみれた武将の栄光と挫折、そして復活を、新解釈で描き切った力作長編である。物語は、主君・信長と秀吉との出会いから始まる。若き日の姉川合戦での一騎打ち、智謀の将・竹中半兵衛と黒田官兵衛との交わり、強敵・長宗我部元親との引田合戦を経て、秀久はついに、国持ち大名へと立身出世を果たす。ところが、戸次川合戦でまさかの大失態……。領地も名声も全てを失った秀久は、髷を落とす覚悟まで固める。しかし、選んだ道は、再び戦場に身を投じることだった――。「失敗しても、明日がある!」。現代人に鮮烈なメッセージを伝える戦国小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
フミ
17
有名な「センゴク」は未読。 戦国時代、秀吉の出世期に、竹中、黒田(小寺)などの陰になりながらも、頑張った武将のお話です。あまり知恵が回らず半兵衛の調略を「凄いヤツや!」と感心して眺めたり、新参の加藤、福島を古参仲間とシメようとして、返り討ちに有ったりしつつも、地道に頑張る姿が描かれていますが、やはり面白いのは「戸次川」以降の根性の入った踏ん張りでしょうか。前半は竹中半兵衛が、「戸次川」以降は、黒田官兵衛が、良い立ち回りをしていました。「ウジウジせず、真っ直ぐ生きる男」の話は気持ちが良いです。2023/05/26
maito/まいと
16
マンガで近年大注目の仙石秀久。長宗我部ファンからは嫌われているらしい(苦笑)その失態、その一方で秀吉古参の武将が追放や処刑で姿を消す中、なぜ彼は生き残り続けたのか。諸説ある中で本作品は非常にシンプルな展開で、1人の人間の人生を描いていく。ナルホドこの方が人間として秀久をストレートに見られる気がする構成、失敗の先に成熟し、成長していく秀久は、まさに現代社会を生きる私たちに、泥臭い輝き方を魅せてくる。終盤きれいにまとまって抗えない若者達に語りかける秀久の姿にこそ、“凡なる”生き方のヒントがあるような気がする。2016/01/12
Ryuji
3
★★★☆☆仙石秀久を主人公として描いた珍しい小説。私の知っている限り、仙石秀久を描いた小説は他には無い。仙石秀久と言えば「戸次川の戦い」での大敗とその後の逃亡という汚名が一番有名な、ある意味可哀そうな武将。どんな描かれ方をするのか興味があって読んでみたが、まぁ主人公だけあって当然悪くは書かれていない。「戸次川の戦い」で何故無謀な戦いに挑んでしまったのか、もっと深く突っ込んで書いてもらえると尚良かったような気がするのだが。この人歴史上でもその後しぶとく生き残っているのでそれなりの武将ではあったのでしょう。2016/09/04
茶幸才斎
3
信長の命で美濃の国情を探る木下藤吉郎の旅に同行したことから、仙石権兵衛秀久は、齢13歳にして彼の寄騎となり、各地を転戦する。竹中半兵衛や黒田官兵衛と昵懇になる一方、戦働きで手柄を得る機会に恵まれず焦慮の念が募るも、秀吉についたお蔭で気が付けば身代は讃岐一国の大名である。天正14年、関白秀吉の九州島津攻めに際し、秀久は長宗我部元親・信親父子らの軍勢とともに豊後に進軍し、後に云う戸次川の戦いに突入する。失敗なしに成長はないが、組織としても「何かあったら課長が責任とるさ。」ぐらいの懐の深さがほしいところである。2016/02/19
韓信
2
仙石秀久が主人公の歴史小説、となるとどうしても『センゴク』と比較してしまうが、人が良くて情に篤いが短慮な猛将、という本書の秀久像も、秀吉や竹中半兵衛との関係性も、センゴクそのままという感じで、軽妙な筆致でさくさく進む物語とあわせて、それなりにおもしろいのだが、オリジナリティと盛り上がりにはいまひとつ欠ける。ただ、より史実に即した仙石家の在り方や、あくまでも当時の視座から描かれた関ヶ原前後の各勢力の動向など、よく調べて書かれたことがわかるのは好印象。しくじった秀久さえも魅力的に描けているのは作者の力量だろう2022/05/20
-
- 電子書籍
- ホームレス消滅 幻冬舎新書