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内容説明
いかにすれば歴史の真実に辿りつき、いかにすれば真実を伝えることができるのか……。本書はヘロドトス、司馬遷、吉田松陰、福沢諭吉ら、古今東西の歴史を紡いできた人々を取り上げ、彼らがいかに時代と向き合い、そしていかに歴史をとらえたかを、イスラム史の第一人者が解き明かしたものである。外交評論家の岡崎久彦氏は、本書解説でこう評す。「歴史哲学に関する古典を全て渉猟され、それの読み方を指導していただける本である。まさに表題通り、『歴史とは何か』を共に思索出来る本である」読者は、歴史学の使命と意味を知るとともに、世界といかに向き合うべきか、そのヒントを得られるに違いない。『歴史の作法』を改題。◎目次より◎『史記』から学ぶ四つの教訓/『ローマ帝国衰亡史』の運命的瞬間/『平家物語』とカフカの世界/クレオパトラの鼻・ルイ十四世の痔瘻・バヤズィトの痛風/海舟・松陰・晋作、危機に思う/孔子とアリストテレスの歴史観/トインビーが「指導的歴史家」と評価したエジプト人
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
131
これは文春新書で「歴史の作法」という題名で出版されていてそれを若干改訂して文庫本にして出したものです。新書でも読んでいますが、やはり歴史の勉強をするのにこの本は入門書的な位置づけで何度読んでも飽きないというか参考になります。東京大学の教養学科の学生向けに講義したものが元ネタとなっているので参考文献もしっかりしています。いつ読んでも読まなければという本が多いのですが、全然進みません。読もう読もうという掛け声だけが頭の中に渦巻いています。2016/10/17
isao_key
6
歴史の見方、捉え方を古今東西の書物から選別し紹介しながら、自身の考えを示される。トゥキュディスを引き合いに、「歴史とは、理解することなのであり、それは言葉を使って書かれるそのものなのです」と述べる。陸奥宗光が土佐立志社の一部と共謀し政府転覆計画に連坐し、戦後逮捕されていた時、獄中で荻生徂徠とジェレミー・ベンサムに親しんだ。その荻生徂徠について、ある主体の行動によって制度が実現しても、その活動が実を伴わないと制度も失われてしまうという循環論で歴史を捉えたと評価している。松陰も歴史の作法を知ることを重んじた。2015/07/14
Yuri Mabe
5
難解すぎる。歴史認識を巡ってこれでもかというほど議論が展開できるとは唖然。私には理解が追いつかず肝心の歴史とは何かが全く見えてこない。気候変動やDNA分析などの科学的な歴史実証について言及されてない点、古典な印象。2016/02/25
my
4
私たちはなんのために歴史を学んでいたのか、確認する意味も込めこの本を読んでみました。歴史に刻まれた普遍的な法則というものを探すのではなく、無常に流される時間の中で一人一人の人間が下す判断を現在に蘇らせ、時には残酷な過去も受け入れて現在を生きていくことを促す筆者には一定の共感を持ちます。時にはある人の健康状態が歴史の結末を変えてしまう。その人の心理は如何程か、理解することで現在の視点から新たに見えてくるものがあるのかもしれません。2016/01/01
バルジ
3
再読。古今東西の名だたる歴史家達の「歴史とは何か」という命題についての思索の道程が辿れる良書。理想と現実の狭間に揺れながらも、歴史の「認識者」ではなく「主体者」たらんとした陸奥宗光の姿が殊の外輝いて見えてくる。歴史は単なる過去の積み重ねではない。時々の状況によって再度解釈され同時代人に影響を与えるものである。そのために歴史家は事実を嗅ぎ分ける嗅覚と事実を積み重ねひとつのナラティブを構築する力が求められる。あまりにも遠大に思えるが、この2点は「歴史家」の必須要件であろう。2025/10/29




