内容説明
廃品回収のアルバイト中に見つけた樋口一葉の手になる一枚の反故紙。小説らしき断簡の前後を求めて上諏訪へ向かった真一は、妖しの美女麻芸に出会う。目が合った瞬間、どこかでお会いしましたねと口にした真一が奇妙な既視感に戸惑っていると、麻芸は世にも不思議なことを言う。わたしたちは結ばれることなく死んでいった恋人たちの生まれかわりよ。今度こそ幸せになりましょう。西原牧湖だった過去のわたしは、平吹貢一郎だったあなたを殺してしまったの……。前世をたどる真一と麻芸が解き明かしていく秘められた事実とは。名匠が幻想味あふれる物語に仕掛けた本格ミステリの罠。/解説=松浦正人
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タカギ
27
タイトルの「妖女」なんですけど、これが誰か?という問題なのかなと思う。登場する女の人は全員そんな感じ。特に中年以上で20歳以上も若く見えると表現される人ばかり。輪廻転生を絡めたミステリで、それをアリの世界なのかナシの世界なのか判じかねて、最初のうちは戸惑いながら読み進める。私個人的にはナシです。泡坂先生らしい男女の情愛があり、犯人は不気味でした。2019/08/04
ステビア
20
大傑作!!輪廻転生をテーマにした幻想的な話なのだが、解決は大変合理的。伏線回収が凄まじくて嘆声を禁じ得なかった。いいもの読んだ。2015/08/09
芍薬
15
スピリチュアルなお話しなのね~とぼんやりしてたら横っ面ひっぱたかれました。そうですよねミステリーですもんね2013/10/22
タリホー
12
古紙回収の紙束に紛れていた樋口一葉の手跡と思われる一枚の反故紙。そこを発端に輪廻転生にまつわる男女の交わりと悲劇を描いたミステリ。不幸な死によって離れた男女が生まれ変わって再び結ばれるという幻想的な物語と、不可解かつ唐突な死。その絵解きは合理的でありながら狂気を感じさせるものがあり、亜愛一郎シリーズにおける「狂人の論理」と同じものだった。2019/08/30
🐾ドライ🐾
11
22年前の事件の被害者の「生まれ変わり」であると思い込み、互いに一目惚れした男女の悲恋。「前世」「生まれ変わり」という突飛なオカルトを信じ込む理由付けはあるものの、ちょっと強引かな。「22年前の事件」と「今」に繋がる事件の謎解きがあるが、全体としてはミステリーというよりも恋愛小説。 実際にリアルで前世のことを言い出す人は胡散臭い。しかも自分を大物に見せるため歴史上の偉人の生まれ変わりだと言い張る。どんだけ図々しいねん。2022/10/16