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内容説明
資本主義に終わりはあるのか、社会主義の失敗を経てもなお、『資本論』を読む意義とは何だろうか──。マルクスを批判的に継承し、イデオロギーを排した純粋な社会科学として再構築することに心血を注いだ宇野弘蔵。その独創的な着想は、資本主義が行き場のない閉塞感を生みだしつつある昨今、再び衆目を集めている。マルクスの魅力とその問題点、さらには自らの理論のエッセンスまでも語り尽くす、『資本論』の導入としても、宇野弘蔵の入門書としても格好の一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
97
1975年に刊行されているのですが、未読の本でした。宇野先生にもこのようなエッセイっぽい本があったとは知りませんでした。資本論に関するエッセイと記者の質問に応えたりしているので理解しやすいのでしょう。今まで読んだこのようなカテゴリーの岩波新書よりも非常にわかりやすい感じがしました。また最後には河盛好蔵さんとの文学に関する対談があり、宇野先生の別の面を知ることができました。2024/03/05
ころこ
36
1975年に刊行された本の2015年の再刊です。これだけみてもマルクス主義見直しの機運が観察できるというものです。本書は講演とインタビューで構成されていて、ざっくばらんとしています。理論的な理解というよりも、この間の40年、更に遡って議論されていた雰囲気をつかみ、失われた文脈で現在に有用なものを発見するためのものと理解しています。その中で、著者が社会運動ととらえている発言がいくつかあり、要するに労働力の商品化に対抗しようとしています。これが昔と今の異なる文脈から出てくる共通の言葉ではないかと思います。2021/08/03
ビイーン
29
「資本論」より資本主義が労働力をも商品化するという事は知り得たが、宇野氏が何を言いたかったのかを深く理解するまでは至らなかった。資本主義の成り立ちと資本主義世界で自分が置かれた立場を客観的に把握したいと常々思う。宇野氏のマルクス経済理論を学ぶことは、これらの知的欲求を満たすために必須と思えてならない。しばらく経って再読したい。2018/09/30
1.3manen
28
経済学研究の窮極目標は、日本資本主義分析(053頁)。山田盛太郎を想起。恐慌、不作、戦争で窮乏化(055頁)。 原蓄:農民と土地を分離し、賃銀労働者として労働力を売る生活(100頁)。社会主義の主張は、失業すれば貧乏す る、貧乏を退治するのではない。貧乏の原因をなす失業そのものを問題にしている(158頁)。 2015/03/18
nbhd
17
宇野弘蔵さんは「あの世にいったら、マルクスと煙草を吸いながら、資本論について議論したい」っていうくらいのマルクス好き。1897年生まれ、戦後になって、マルクスを好き勝手勉強できたことが宇野さんが吸った自由の空気だった。この「好き」の気持ちは盲目的なものではなくて、ごく対等で、「ここはOKだけど、ここは間違ってるよね?」と気安くマルクスを批判する、けっこうメタクソに。素敵な学者さんだ。あと、党派的なマルクス主義を批判しつつも「実践活動はイデオロギーによらなければできない」とも言っていて、だいぶ大人だ。2021/02/15




