内容説明
来日三年目、居酒屋で時給900円のバイトをしながら法律の勉強にはぜむ中国人女子大生の林杏(りんきょう)は、ふとしたきっかけで、カード犯罪で逮捕された中国人の通訳を務めることになる。
4時間弱の労働で得た報酬は、15000円! 夕食にいつもより高いデザートをコンビニで買う。林は謝礼のお札をしげしげと眺め、一万円札の福沢諭吉に「万太郎」、5000円札の樋口一葉に「おせん」と名付ける。
コンビニで支払われた「おせん」はあっという間に海を渡り、人間の欲まみれの世界を裏側から見つめることになるが――。
貨幣は世の中を便利にする画期的な発明だけれど、それによって人生を狂わされたりもする。ユニークな構成と奇想天外な展開で好評を博した、傑作〈お金〉小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カブ
16
五千円札の樋口一葉。別名「おせん」は国境をまたいで旅をする。人の手から手へ、臭い財布から臭いバッグへと渡り歩く。お金のために酷い目に遭うお話。2015/12/30
ぼぶたろう
11
唯一、他人同士が価値を共有できるもの貨幣。お金にまつわるブラックユーモア溢れる作品。苦学生の中国人留学生と、五千円札に鎮座する樋口一葉さんが今作の主人公。お金に翻弄される人の姿がとても痛々しくて、ヒリヒリした。それは私にとっても、お金が大切で怖いものだからなのでしょう。2016/09/27
pitch
5
お金に振り回される中国人留学生と、彼女が手にした五千円札の行方が交互に語られる。この作者の書く人物は、中国人ならではのむき出しな感じが面白くて好きです。欲を言えば最後は「おせん」さんと再会して欲しかった。2018/04/26
ミスターテリ―(飛雲)
3
お金の話を、擬人化された五千円札の彼女のつぶやきと、中国人留学生のバイト生活の苦労話が、同時に進んでいく。ただ最後まで両方が交わることがないため、それぞれ別の小説として読んだ方がおもしろいと思う。とくに主人公のバイト生活のリアルさは、作者が得意とするところであり、読みごたえがあったが、五千円札のおせんの話には結局、最後まで入り込めなかった。ただお札のなかで唯一、女性の五千円札を魔女にしてお金の魅惑を表現した作者の視点には納得。 2019/09/17
taka
2
お金目線という着想は面白かった。もう少し主人公とお金との関連にインパクトがほしいところ。。2016/11/29
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