内容説明
故郷は、神と鬼の伝説が共存する里だった。
「この歓びと放心はなんだろう。胸の痛みはなんだろう。生まれ育った土地をめぐって、ケリをつけなければならないことがあった」。
宮崎県高千穂。山頭火が「分け入っても分け入っても青い山」と詠んだ、著者の生まれ故郷である。川端康成をして「山川不老」と書かしめた、山高く谷深い里だ。
「高千穂はどこにある」。そこにいるはずなのに、呆けた祖母がふともらした言葉がきかっけだった。道路が整備され、高千穂峡には巨大な橋が架けられ、国見ヶ丘には、巨大な神様の像が建っている今ではなく、「祖母が見ていた高千穂に行ってみたい」と思った著者が、故郷をめぐる。そこは、「天孫降臨」の神話と「鬼八」伝説が共存する、混沌と矛盾の里だった。大宅賞作家が、愛も憎しみも超越した感情で書き尽くした、渾身の風土記。
多くの書評に取り上げられた名著、文庫版を電子化。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ミエル
8
地元出身の著者の愛に溢れる新日本風土記系エッセイ。圧政による苦難の時代、天孫降臨の地だからこその天皇への格別で複雑な思いに心が痛む。その背景に息づく高千穂の独特(古代風?)文化、風習、自然信仰といった地元民視点で描かれるエピソードに温かく切ない涙が滲む。著者の文体は、いつも愛に溢れて優しいのだけれど、地元を語る本作ではいつも以上に慈悲深く親切。心が洗われる読了感とともに、成熟したムラ社会である高千穂の今後が気になる。読後に動画で見た刈干切唄は一見の価値あり。2017/04/11
うたまる
3
ノンフィクションライターである著者の故郷高千穂紀行。老人介護から地域祭事、民間伝承などが現地の方言で吶々と語られ、神話の郷を照らし出す。そこから浮かび上がってきたのは、高千穂の山や森や水に溶け込んだ人々の姿だった。自然にへばり付き肩寄せあって生きてきた彼らにとっては、痴呆老人も障害者もアル中もみな家族の一員となる。「おれどんは、こん土地で生まるるとなら、どこん家で生まれてんよかったとかもしれんな」。個性やプライバシーを得るためにこんな素朴な幸福を捨てたとするなら、我々はなんて勿体無いことをしたのだろう。2016/04/05
マキノ・ジロー
1
高山文彦氏の故郷は宮崎県高千穂。 天孫降臨については難しかったが、民俗学が好きな人におすすめしたい。 なぜ高山氏が魅力的な作家なのかが少しだけ見えてきたように感じる。 離れても、故郷高千穂にしっかりと根を下ろしているからだ。高山氏が出会ってきた人々は高山氏の文章の中に生きており、読む人間をしんみりとさせたり、笑わせたりしてくれる。 故郷の文化や風習をよく吸収し、故郷の人々と濃い交わりを持ちながら成長してきて、どこにいても心は故郷に根を下ろしている人間は魅力的だ。 私も地元について今からでも調べてみようか。2017/09/17
ぴのこ
0
ごめんなさい。100ページまで読んでみたけど、お話の中に入って行けませんでした。2017/12/05
isbm
0
★★★2016/04/29
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